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★ご質問
著作権のことを知らずに、朗読配信をしてしまった。
著者は存命中の人で、著作権はまだ存在している。
この場合、アーカイブを消去すればいいのか?
使用料を払うべきなのか?
という質問です。
★前提
まず前提として、基本的には「引用」にあたる場合を除いて、
著作権者に無許可で朗読配信をすると、
著作権の中の「公衆送信権」の侵害になります。
また、内容をアレンジしたり一部省略したりすると、
著作者人格権の中の「同一性保持権」の侵害になる可能性があります。
したがって、本来は
事前に、著作権者や著作者といった権利者の許可を得てから配信する必要があるんですね。
★回答
では、許可をもらうのが後手に回ってしまった場合、
事後的に許可をもらうことはできるのかというと、
権利者がOKしたら大丈夫です。
逆に権利者が「ダメです。削除してください」と言ったら、
配信を削除する必要がありますし、
権利者が「お金払ってください」と言ったら、
お金を払う必要があります。
全ては権利者次第ということになりますね。
ただ実際は、相手方が気づいてなければ、
こっそり削除すればバレません。
法律上は、削除しても権利侵害の事実には変わりありませんが、
そーっと消しちゃえば誰にも分からないじゃないですか。
なので、事後的にでも「ちょっと問題あるかも」と思ったら、
すぐ削除すればいいのではないでしょうか。
そしてもし本当はバレてて、
「お金払ってください」と言われたら、
粛々としたがっていけばいいと思います。
ここで、もし「お金払ってください」と言われた時に、
支払う額が心配という方もいらっしゃるかもしれません。
相手の言い値で何百万円も何千万円も払わないと
いけないとなると、怖いですよね。
そこは、あなたのその侵害した行為で
よっぽど儲けているのでなければ、
そんなに心配しなくても大丈夫です。
著作権法上、損害額を推定する規定というのがありますし、
民法上でも、相手方に実際に発生した損害の額や、
侵害がなければ本来権利者が得られたかもしれない額を
超えることはないと考えてください。
外国だと「懲罰的損害賠償請求」というのがあって、
実際の損害の3倍返しだ!
みたいなこともできたりするのですが、
日本にはそういう制度はありません。
ただし、わざと侵害行為をして儲けるとか、
すごく悪質な場合は、
「侵害罪」という刑事罰の対象になる場合もあります。
その場合は10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処される場合がありますので、
ご注意ください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。