長方形で囲った程度では足りない? 「17」は「極めて簡単で、かつありふれた標章」として登録NG(「17」事件)

長方形で囲った程度では足りない? 「17」は「極めて簡単で、かつありふれた標章」として登録NG(「17」事件)

数字だけの商標は、商標登録が難しい場合があります。

特に、数字が商品の型番や品番などとして一般的に使用されている場合には、単なる記号や符号として理解され、自他商品識別力が認められないことが少なくありません。

では、数字をデザイン化したり、長方形の枠で囲ったりすれば、登録できるのでしょうか。

今回は、「17」の数字を長方形で囲った商標について、商標法第3条第1項第5号の「極めて簡単で、かつありふれた標章」に該当すると判断された事例をご紹介します。

事案の概要

本願商標は、細い長方形の枠の中央に「17」の数字を配置したものです。

出願番号は、商願2024-051142
拒絶査定不服審判は、不服2025-12259
です。

出願人は、

  • 「17」の数字には独自のデザインが施されていること
  • 長方形の枠との組み合わせによって、一体的で特徴的な印象を与えること
  • 実際にもブランドとして使用していること

などを主張し、識別力があると主張しました。

しかし、特許庁はこれを認めませんでした。

理由1 数字は商品番号などとして一般に使用されている

審決では、まず、
数字は商品の品番、型番、種別、規格などを表す記号・符号として一般的に使用されている
ことが指摘されています。

実際、家電製品やカメラ、アパレルなど、さまざまな分野で数字は頻繁に用いられています。

そのため、需要者は数字だけを見ても、通常は商品の出所を示すブランドというより、

  • 型番
  • 商品番号
  • シリーズ名

などを表しているものと理解しやすいといえます。

理由2 「17」のデザインも特別なものではなかった

出願人は、「17」の数字自体に独自のデザインが施されていると主張しました。

しかし、審決では、

  • 「1」の横線の形状
  • 「7」の斜線の形状

などは、一般的な書体の範囲内にすぎず、特別なデザインとはいえないと判断しています。

実際、同様の書体は一般に用いられており、本願商標の数字部分も、
「17」という数字であることを容易に認識できる程度のデザイン化
にとどまるとされました。

つまり、数字自体に強い特徴があるとは評価されなかったわけです。

理由3 長方形で囲っただけでは識別力は生じない

本件で興味深いのは、
長方形の枠で囲った程度では識別力は認められなかった
という点です。

出願人は、

  • 長方形と数字との間に十分な余白があること
  • 全体としてバランスのよいデザインになっていること

を主張しました。

しかし、審決では、
細い長方形の枠自体が極めてありふれた図形
であり、数字を囲うための一般的な表示方法にすぎないと判断しています。

そのため、

長方形の枠と「17」の数字を組み合わせても、全体として識別力を発揮するほど特徴的な構成にはなっていない

とされました。

実際にブランドとして使っていても登録できるとは限らない

出願人は、「PENTAX」の文字とともに使用しており、「17」がブランドとして機能しているとも主張しました。

しかし、審決では、
商標法第3条第1項第5号の判断は、商標そのものの構成に基づいて行われる
としています。

したがって、実際にどのように使用しているかによって、「極めて簡単で、かつありふれた標章」であるという判断が左右されるものではないとされました。

もちろん、長年の使用によって使用による識別力(商標法第3条第2項)を取得している場合は別ですが、本件ではそのような主張は問題になっていません。

この事件から分かること

この事件から分かるのは、
特に1~2文字程度の短い数字商標については、少しデザインを加えたり、単純な図形で囲った程度では、「極めて簡単で、かつありふれた標章」と判断され、登録が認められにくい
ということです。

例えば、

  • 数字を少し変形する
  • 枠で囲む
  • 余白を設ける

といった程度では、「極めて簡単で、かつありふれた標章」の範囲を出ないと判断されることがあります。

特に、

  • 1桁や2桁の数字
  • 商品番号や型番として使われやすい数字

については、識別力のハードルはかなり高いといえるでしょう。

登録を目指すならどうする?

数字をブランドとして保護したい場合には、

十分に特徴的なロゴ化を検討する

単なる数字ではなく、独創的な図形的要素を加えることで、識別力が認められる可能性があります。

他の文字と組み合わせる

数字単独ではなく、

  • ブランド名
  • 造語
  • ロゴ

などと組み合わせることで、商標全体として識別力を持たせられる場合があります。

使用による識別力を検討する

長年の使用実績がある場合には、商標法第3条第2項による登録の可能性もあります。

まとめ

「17」事件では、

  • 数字は商品番号などとして一般に使用されていること
  • 「17」のデザイン自体も特別ではないこと
  • 長方形の枠もありふれた図形にすぎないこと

から、「極めて簡単で、かつありふれた標章のみからなる商標」
として、商標法第3条第1項第5号に該当すると判断されました。

数字をブランドとして使用したい場合には、
「少しデザインを加えれば登録できるだろう」
と考えるのではなく、どの程度の独創性が必要かを事前に検討することが重要です。


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