声の権利

声の権利

2022年4月17日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/61ff9d777885e8000615801b

今回は、「声に権利があるのか」というテーマでお話いたします。
人の声って、個性が表れていて、
この声好きだなとか、安心するなとか、ドキドキするといったことがあるかと思います。

では、人の声には何らかの権利があるのかというと、
声そのものに「著作権」はありません。

著作権というのは、
思想とか感情を創作的に表現したものですが、
声自体に発生するというより、
その表現された中身に発生するものなんですね。

例えば、歌の歌詞だったり、
お芝居のセリフだったり、
朗読している本の記述だったり、
音声配信の台本だったり、
に著作権が発生します。

なので、声自体には「著作権」はないですが、
その代わり、声を通じて演じる行為に
「著作隣接権」という別の権利が発生する可能性があります。

「著作隣接権」の中に「実演家の権利」という権利があって、
例えば、歌手とか俳優とか声優といった人々が、
歌ったり、演じたり、朗読したりした場合に発生し得るものなんですね。

「著作権」のように強い権利ではないけれども、
「著作隣接権」も、著作物等を世の中に広げる重要な役割を果たしているよね、
ということで、一定の権利の保護がされているというわけです。

したがって、スタエフで皆さんが配信している音声というのは、
実は著作権とは別に著作隣接権の実演家の権利も発生しているんですね。

じゃあこの実演家の権利があることで、
どんなことに気をつければいいのかについて簡単に解説します。

まずは、音声配信の内容を勝手に録音したり録画したりしてはいけません。
「録音権」とか「録画権」というのがあるんですね。

それから、勝手にネットにアップロードしてもいけません。
「送信可能化権」が発生しているからです。
したがって、人の音声を勝手に収録配信したり、
ライブで配信したり、もっと言えば下書きに保存してもダメだと考えられます。
ちゃんと許可をとりましょう。

そして、配信するときは、
相手の名前をどう表示するかについて確認を取るとか、
あまり名誉を傷つけるような改変をしないとか、
そういった配慮が必要です。
これは、「実演家人格権」の中の
「氏名表示権」と「同一性保持権」が
関わってくるからですね。

というわけで、音声配信などの
「声の実演」には、
「著作隣接権」の「実演家の権利」が発生していることがあるため、
取り扱いには十分注意してください。