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ネット環境の整備やSNSユーザーの増加、
スマホやタブレットの普及で、
誰もが情報発信できるようになりましたね。
とても便利で、誰にでもチャンスが訪れる、
本当にいい時代になったなと思います。
★僕たちはいつも著作権侵害とともにある
そんな情報発信においては、文字や画像、音声に動画と、
さまざまな手段を利用することができますが、
その度に著作権が発生し、
中には著作権侵害の可能性がある行為をしてしまっていることも、
少なくありません。
それもある意味仕方のないことで、
どれに著作権が発生しているのか、
どのタイミングで発生したのか、
それは誰のものなのか、
客観的に明らかではないことが多いという問題があります。
また、どんな行為が著作権侵害や著作者人格権侵害になるのか、
どういうケースなら問題ないのか、
法律の条文の数が多すぎてわからないですし、
具体的に「こういうのはダメ」などと
はっきりしていないことがほとんどです。
だからついつい、知らぬ間に権利を踏んでしまっているんですよね。
★侵害でもそんなに問題にならない理由(民事事件)
ここでちょっと疑問に思いませんか?
「しょっちゅう著作権侵害してるのに、なんでそんなに問題にならないの?」
「法治国家とは名ばかりなのか?」
「著作権なんて、そんなに気にしなくていいんじゃない?」
などと、思われる方もいるかもしれません。
その理由はシンプルに1つで、
「権利者が問題にしないから」です。
まず「気づいてない」ということもありますが、
気づいていても「程度が軽いから見逃しておこう」と黙認するのが通常ですね。
また「いちいち揉め事にするのが面倒臭い」ということもあるかもしれません。
中には「自分の著作物を利用してもらうことで、自分にもプラスになる」
と考えるケースもあります。
この場合はwin-winなので、多少グレーでも許されてしまいます。
私自身も、毎朝LIVE配信をしてますが、
紹介する本が売れて、
著者や出版社に還元されることを狙ってます。
このように、権利者が問題にしないため、
民事事件に発展していないというのが理由に挙げられます。
★侵害でもそんなに問題にならない理由(刑事事件)
また、刑事罰に関しても、
著作権法の場合、基本的には権利者が告訴しない限り、
刑事責任を問うことができない制度になっています。
「権利者が問題にしないから」という理由に加えて、
「権利者が問題にしないと、責任が問えない仕組みだから」
ということですね。
このことを、「親告罪」と言います。
「親」という字に「告げる」という字に「罪」で
「親告罪」です。
特許法や商標法だと、その逆で「非親告罪」となっていて、
権利者が告訴をしなくても、検察が訴えを提起することができます。
特許とか商標というのは、公の利益を守る側面も強いので、
このようになっています。
★法改正に注意!
ところが、TPPの影響で、2018年12月30日から、
著作権法の一部にも、
特許法などと同じ「非親告罪」が導入されてしまったのをご存知でしょうか?
つまり、一部の行為については、権利者が問題にしなくても、
刑事責任を問われる可能性ができたということです。
どういう場合が該当するかについて、
目的と対象物と行為の3つに分けて説明します。
①まず、目的ですが、
・行為の対価として財産上の利益を受ける目的
又は
・権利者が得られたであろう利益を害する目的
がある場合に該当します。
②次に、対象物ですが、
・有料で一般に提供されたり提示されている著作物や実演等
です。
③そして、行為ですが、
・原作をそのままコピーしたものを、不特定の人や多くの人に譲渡したり、
ネットなどに流したり、そのためにコピーしたりする行為で、
権利者の利益が不当に害される場合
が該当します。
権利者の告訴を待っていると、
どんどん経済的にダメージが大きくなってしまうようなケースですね。
「有料で提供されているものを、勝手に横流しするような行為」
がダメということです。
その他の侵害行為は親告罪なので、
基本的には告訴がなければ刑事責任に問われませんが、
権利者が告訴しなくても、
第三者が告発したり、現行犯で逮捕されたりすることもあるので、
やはり権利者の利益を害していないか?
という配慮は必要なのかなと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。