「りくりゅう」商標出願に学ぶ、自分の”名前”を守る方法——「オグシオ」の教訓とともに

「りくりゅう」商標出願に学ぶ、自分の”名前”を守る方法——「オグシオ」の教訓とともに

フィギュアスケートペアの木原龍一さん・三浦璃来さん(通称「りくりゅう」)が、今年8月に婚約を発表されました。ミラノ・コルティナ五輪で日本初のフィギュアペア金メダルを獲得された記憶がまだ新しいなか、多くの方が祝福されていることと思います。

そんな中で、報道でもう一つ興味深い動きが明らかになりました。お二人が「りくりゅう」「Riku Ryu」という愛称の商標登録を出願されていたのです。この動きは、著名人の方だけでなく、これから活動を広げていく皆さんにも参考になる話ですので、少し丁寧に解説してみたいと思います。

「りくりゅう」出願の中身を見てみる

報道と特許庁の公開情報によれば、出願は今年3月〜4月にかけて、代理人を通じて行われています。

指定されている商品・役務の分野を見ると、その幅広さが目を引きます。

  • カバン・傘(18類)
  • タオル・ハンカチ(24類)
  • 被服(25類)
  • おもちゃ(28類)
  • ビール・清涼飲料(32類)
  • アルコール飲料(33類)
  • スポーツの教授・セミナー等(41類)

グッズ展開、飲料商品、そしてご本人たちがすでに公表されているペアコーチとしての活動まで、幅広い将来のビジネス展開を見据えた指定内容です。引退後の第二の人生を、”りくりゅう”というブランドを起点に築いていく。そんな意思が読み取れる出願だと感じました。

参考にしたい「オグシオ」の教訓

こうしたご本人名義での出願が持つ意義を考えるとき、思い出されるのがバドミントン女子ダブルスの「オグシオ」の例です。

2000年代後半、小椋久美子選手・潮田玲子選手のペアは、北京五輪の活躍もあって国民的人気を博しました。「オグシオ」の商標(登録第5183808号)は、所属先だった三洋電機の名義で登録されています。

ここで注目したいのが、時系列です。

商標の登録日は2008年11月28日。ところが、その17日前の11月11日に、お二人はすでにペア解消を発表されていました。つまり、商標が正式に登録された時点で、”愛称としての現在進行形の活動”は事実上終わっていたことになります。

その後、両選手はそれぞれの道を歩まれ、三洋電機自体もパナソニックの子会社となってブランドが変化していきました。「オグシオ」の商標も、そうした流れの中で更新されないまま消滅しています。

この経緯からは、二つの示唆が読み取れます。

一つはタイミングの問題です。商標登録には出願から登録までに一定の期間がかかるため、ブランドが最も勢いのある時期に登録が間に合わないケースが起こります。「オグシオ」の場合、もう少し早い段階で出願・登録が完了していれば、活動期間中の商品化・ライセンスに、より活用できていたのかもしれません。

もう一つは名義の問題です。ご本人以外(所属先など)の名義で登録されている場合、独立や所属変更、企業側の経営判断や事業環境の変化によって、権利の扱いが不安定になる可能性があります。

自分の名前を守るための3つのポイント

「りくりゅう」ペアが取られたようなご本人名義での出願は、こうしたリスクへの備えとして、理にかなった選択です。ポイントを整理すると次の3つになります。

1. タイミング 引退・独立・結婚・改名など、活動の節目は、自分の”名前”や”呼ばれ方”を見直す重要なタイミングです。加えて、ブランドが盛り上がりを見せ始めた早い段階から動き出しておくのが、活用期間を最大化する上でも理想的です。「後で考えよう」と先送りにしている間に、第三者に先に出願されてしまうリスクもあります。

2. 名義 ご本人名義で持つか、事務所・所属先の名義で持つか。契約関係と将来の独立可能性を踏まえて選択する必要があります。事務所名義にする場合でも、契約書に”独立時の商標の扱い”を明記しておくと安心です。

3. 指定商品・役務の設計 「りくりゅう」の出願のように、将来展開しうるビジネスまで見据えて幅広く指定しておくことで、後から追加出願する手間や、隙間を第三者に突かれるリスクを減らせます。

商標・ブランドのご相談は、サムライツ®知財事務所へ

「自分の名前」「屋号」「愛称」「ブランド」を、どの名義で、どの範囲で守るか——これは、著名人の方だけの話ではありません。事業を営む個人事業主の方、これから独立を考える方、活動を長く続けたいと願う方、皆さまに共通する大切なテーマです。

サムライツ®知財事務所では、商標の登録から、その先の運用・ブランド戦略まで、伴走型でご支援しています。

  • 「取得できるかどうか」だけでなく「どう使い続けるか」まで一緒に考える
  • 個別のご事情、契約関係、将来の展開をお聞きしたうえで、最適な指定内容を設計
  • 生成AIの活用と、商標・著作権まわりのリスクを合わせたご相談も可能

「うちの場合、どう考えればいいだろう」と迷われたら、まずはお気軽にご相談ください。あなたの大切な”名前”を、末永く育てていくお手伝いをさせていただきます。