「ちいかわ」の圧倒的ブランドを守る商標戦略を徹底解剖

「ちいかわ」の圧倒的ブランドを守る商標戦略を徹底解剖

現在公開中の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』(https://chiikawa.toho-movie.jp/)が大きな話題を呼び、公開7日間で興行収入約33億円を突破する大ヒットを記録しています。

SNS発のキャラクターから始まり、今やアニメ、映画、グッズ、さらにはテーマパークやゲームアプリにまで拡大した「ちいかわ」は、世代を超えた巨大なブランドへと成長しました。

このようにコンテンツが社会現象化する中で、企業・権利者にとって非常に重要になるのが「商標登録」を通じたブランド保護です。模倣品や無断利用を防ぎ、ファングッズやコラボビジネスを安全に展開するため、公式サイドはどのような手を打っているのでしょうか。

この記事では、同作品が展開しているキャラクタービジネスの商標戦略について、登録・出願された商標の一覧から見えてくる「実務の勘所」を徹底解説します。


なぜ「ちいかわ」はここまできっちり商標をとるのか?

「ちいかわ」のように、見た目(キャラクターの絵柄)と名前(文字)の両方で認知されているコンテンツは、悪意のある第三者に「ロゴや名前は変えて、絵柄の雰囲気を似せる」「公式ではないと謳ってグレーに売る」といった抜け道を作られやすい性質があります。

だからこそ、ロゴやタイトルだけでなく、「見た目(キャラクター画像)」から「派生サービスの名称」まで権利で囲う発想が効いてきます。公式は、メインキャラクターだけでなく、サブキャラクター、さらにはゲームアプリや常設店の名称に至るまで、かなり細かく商標権の網を張っています。


「ちいかわ」関連の商標登録・出願一覧

カテゴリー商標商標(その2)登録番号・出願番号
漫画・アニメ
「ちいかわ」
「ちいかわ」登録第6462303号、6649263号
登録第6462301号、6648272号
登録第6890390号、商願2026-034928号、2026-034930号
登録第6890391号、商願2026-034929号、2026-034931号
商願2026-014412号、2026-014417号
商願2026-014413号
商願2026-014414号
商願2026-014415号、商願2026-014418号
商願2026-014416号、2026-014419号
ちいかわベビー登録第7052864号
登録第7060186号
登録第7052865号
「Chiikawa Baby」登録第7064606号
ちいかわぽけっと「ちいかわぽけっと」登録第6922176号
「ちいぽけ」登録第6922177号
「CHIIKAWA POCKET」登録第6922178号
ちいかわパーク「Chiikawa Park」登録第6948243号
登録第6948244号
その他(店舗・企画等)「まじかるちいかわ」※登録第6881461号
「ちいかわベーカリー」※登録第6924326号
「ちいかわらんど」※登録第6945904号
「シーサーのおみやげやさん」※商願2026-034932号

※ちいかわベビー:ちいかわたちが「謎のあめ」を食べて赤ちゃんの姿になってしまった姿
※ちいかわぽけっと:公式スマートフォン向けゲームアプリ
※ちいかわパーク:ちいかわの世界に入り込める体験型施設
※まじかるちいかわ:魔法少女パロディ企画
※ちいかわベーカリー:ベーカリー常設店
ちいかわらんど:オフィシャルショップ
シーサーのおみやげやさん:沖縄ゆかりの専門店・ポップアップ


人気コンテンツに学ぶ商標戦略3つのポイント

① キャラクターの「文字」と「画像」の両面防御

一覧を見ると、「ちいかわ」という文字だけでなく、キャラクターの見た目(絵柄)を「画像(図形商標)」としても登録していることがわかります。
特に「ちいかわ」の文字と画像は早い段階で登録され、その後、「ハチワレ」「うさぎ」といった主要キャラクターの画像も個別に登録されました。
さらに注目すべきは、映画公開が近づいた2026年に入ってからシーサー、くりまんじゅう、古本屋、ラッコ、モモンガといった人気サブキャラクターたちの「画像」の出願(商願2026-〇〇号)が立て続けに行われている点です。グッズ展開などにおいては「キャラ名(文字)」に頼らず「見た目」だけで勝負することも多いため、メインビジュアルの図形登録は模倣品対策として非常に強力に働きます。

② 派生キャラ・世界観(ベビー、まじかる等)の権利化

ちいかわたちが「謎のあめ」を食べて赤ちゃんになった「ちいかわベビー」や、魔法少女パロディ企画の「まじかるちいかわ」など、原作から派生した独自デザイン・企画名についてもしっかりと商標が押さえられています。
二次創作的なテイストやスピンオフ企画であっても、公式がビジネスとして展開する以上は、そこから発生する利益とブランドを守るために独自の権利化が必要です。

③ リアル体験・デジタル展開(パーク、ぽけっと等)の先回り登録

スマホアプリ「ちいかわぽけっと」に対して、正式名称だけでなく「ちいぽけ」という略称や、英語表記「CHIIKAWA POCKET」も同時に登録しています。SNS時代においてファンが用いる「略称」は拡散力が高い反面、第三者に先取りされるリスクもあるため、これを未然に防ぐ秀逸な一手です。
また、「ちいかわパーク」「ちいかわベーカリー」「シーサーのおみやげやさん」といった体験型施設や店舗名の登録状況からは、リアルイベントや店舗ビジネスを拡大していく上で、あらかじめ指定商品・役務(区分)を見据えた周到な設計がうかがえます。


まとめ:自社キャラクターを育てる前にやるべきこと

『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』のメガヒットの裏には、文字・ロゴ・キャラ絵・派生プロジェクトに至るまでの徹底した知財戦略があります。これは、人気作品が持つブランド価値を守り、さらに収益化を進めるうえで極めて有効な手段です。

「うちの会社のマスコットキャラクターが育ってきた」「これからグッズ展開やコラボ、新規サービスへの横展開を検討している」という事業者様は、ぜひ一度ちいかわの事例のように「キャラ名」「ビジュアル」「略称や展開予定のサービス名」の棚卸しを行ってみてください。


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キャラクター商標は、「何の名前をとるか」だけでなく、「どこまで図形化するか」「どの区分(指定商品・役務)で権利を取るか」の出願設計が成功の鍵を握ります。

「どこから手をつければいいかわからない」
「将来のビジネス展開を見越した商標の守り方を知りたい」

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※サムネ画像は商標登録第6462301号公報より引用