※2024年9月3日配信メルマガVol.296より抜粋(一部加筆修正あり)
目次
商標登録しても思い出されないと無意味?!
せっかくお金をかけて苦労して商標登録しても、
お客さんが何か課題を解決したいときや、
欲しいものを探しているときに、
自社商品・サービス名を思い浮かべてもらえなければ、
残念ながら意味がありません。
①最初に悩み(ニーズ)や欲しいもの(ウォンツ)が発生し、
②その後に頭の中にある引き出しから
これらを解決してくれる商品・サービス名をいくつか思い浮かべます。
③そして、その中から一番好感を持っている商品・サービス名を
Googleなどの検索窓に入力して検索するからです。
まずは、特定のニーズやウォンツが発生した際に思い出してもらえなければ、
自社商品・サービスは存在しないのと同じになってしまいます。
指名検索を生む3ステップと注意点
この、自社商品・サービス名を思い出して検索窓に入力してもらえる力のことを
「指名検索」力と言います。
「指名検索」とは、ユーザーが検索窓に”一般名称”ではなく“ブランド名そのもの”を入力して調べる行為です。
この回数が増えるほど、検索エンジン広告コストは下がり、価格競争からも抜け出せます。
そして、指名検索を生むには、
- ニーズ×シーンを1枚絵で定義 ・・・「◯◯したい時=真っ先に思い出すブランド」を決める
- 覚えやすい固有名詞+統一コピー ・・・ CM・LP・パッケージをワンフレーズで貫く
- “今すぐ検索”等CTAで背中を押す ・・・ 広告文・店頭POP・SNS投稿に検索ワードを明示
の3ステップを踏む必要があるのですね。
ステップ3の後、ユーザーが固有名詞(ブランド名)を入力する行為が、
上記③の「指名検索」というわけです。
ステップ2のコピーは、ステップ1のニーズ×シーン次第で変わってくるのですが、
想定しているニーズ×シーンが限定されすぎていると、
①の自社商品・サービスと結び付くお客さんのニーズやウォンツも限定されすぎたものとなります。
すると、②で思い浮かべる商品・サービスの候補に上がらなくなるので、
本来なら取り込めたはずの需要を取りこぼしてしまいます。
KFCの旧コピー「チキンといえばケンタッキー」
例えば、以前のケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)のCMのキャッチフレーズは
「チキンといえばケンタッキー」でした。
これは、お客さんが「チキンが食べたい」と思った時に、
「チキンといえばケンタッキー」というフレーズが頭に浮かぶ
つまり、頭の中の引き出しに入るように、
「認知」を高めているわけですね。
ただし、認知が高いだけでは足りません。
上記でいえば、①②で終わってしまっています。
実際に検索される③の行動に移ってもらうには、
欲しいなという購買意欲が必要です。
そのためには、自社商品・サービスが
競合に比べて一番「好感度」が高くなくては選ばれません。
さらに、「今」買ってもらわなければ、
「また今度でいいや」と思われてしまうので、
「今欲しい」気持ちにさせることも必要です。
「チキンといえばケンタッキー」というコピーの弱点
そのためには、実は最初の①ニーズやウォンツと
自社商品・サービスを結びつける設計が重要になります。
例えば、上述のKFCは、
「チキンといえばケンタッキー」のフレーズで、
クリスマスや誕生日などの特別な日に食べるニーズを
がっちり掴むことに成功しましたが、
それ以外の日のニーズはつかめず伸び悩んでいました。
(ちなみに、クリスマスに七面鳥ではなくフライドチキンを食べるようになったのは、
日本のKFCが仕掛けたのがきっかけだそうです。)
上記のステップ1で言えば、「クリスマスや誕生日などの特別な日に真っ先に思い出すブランド」になっていたわけですが、「普段のなんでもない日に真っ先に思い出すブランド」ではなかったのです。
つまり、特別な日の食事としては、競合に勝つことができたのに、
普段の食事としては選択肢から外れていて、
競合に勝てていなかったのですね。
「今日、ケンタッキーにしない?」に変わり、普段使いのブランドに
そこで、普段の何でもない日にも真っ先に思い出してもらって、気軽に来店してもらうために、
旬の若手俳優をCMに起用し、
「今日、ケンタッキーにしない?」
というキャッチフレーズに変更したのです。
その結果、KFCは新しい日常使いのニーズを取り込むことに成功し、
ランチメニューを中心に人気のファストフード店となっています。
以上より、ブランド力=指名検索力を高めるために、
「お客さんのニーズやウォンツと自社商品・サービスを結びつける設計」を行い、
さらに「認知」と「好感度」を高めていけるといいですね。