マーケティングにおける”食べられる商標”の活用

2017年6月15日

持続可能なブランドコミュニケーションをつくる
「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。

米国のレストランでは、「食べられるロゴ」をブランド戦略の一手段として提供するお店が、増えているそうです。(2017年6月14日付Bloombergの記事より)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-14/ORHTOGSYF01S01

(原題:The Ultimate Sell: The New Food Branding Is Right on the Burger

記事を見てみると、ロゴ入りの焼きのりを添えたラーメンや、ロゴ入りの平べったいパスタ、店名の焼印入りのカツ、店名入りの氷が入ったカクテルなど、商標をあしらった様々な食べ物等が紹介されています。

これはどういった意図なのでしょうか?

記事にもあるように、今の飲食店は、来店客にいかにInstagramでシェアしてもらうかを競争している状況にあるようです。

みなさんも経験はありませんか?レストランで提供された料理を写真に撮って、お店の名前のタグをつけて、Instagramにアップして、同じタグのついた投稿に「いいね!」を押す。お店側は、この口コミを狙っているのですね。

当然、お店の名前やロゴ、提供している商品が、多くの人の目に触れれば触れるほど、認知度が向上して、「このお店に行ってみたい!」という人も増えていくわけです。そしてInstagramきっかけで来店したお客さんは、自分のInstagramアカウントで「○○へ行ってきました!」と紹介したくなるわけです。
そんな口コミ効果の高そうなコンテンツの一つとして、ロゴ入りの食べ物を提供しているわけですね。

こういう口コミ狙いのマーケティングを「バイラルマーケティング」と言います。「バイラル」は、「ウィルス性の」という意味。ウィルスに感染するように、短時間で口コミが広がっていくことから、名づけられました。

「バイラルマーケティング」を考える上では、「AISAS」の理解が欠かせません。「AISAS」とは、電通が提唱した、インターネットの時代における、人々の商品・サービスの購買行動プロセスを説明するモデルです(電通により商標登録済み)。

人が商品やサービスを買うときは、

①A:Attention(注意)
②I:Interest(興味・関心)
③S:Search(検索・情報収集)
④A:Action(購買)
⑤S:Share(情報共有)

のプロセスを経るというものです。
それぞれの頭文字をとって、「AISAS」と名付けられました。

⑤のShare(情報共有)の最大化を図ることで、①のAttention(注意)が増えますから、結果的に④のAction(購買)が増えるわけですね。
最近はさらに、「Dual AISAS」なるモデルも登場しておりますが、いずれにしても、⑤Share(情報共有)のためのツールであるInstagramなどのSNSでいかに取り上げられるか?を検討することは、非常に重要なことです。

そのための手段の1つとして、ロゴや店名などの商標の活用をおすすめ致します。