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今回は、ご質問をいただいたので、それにお答えします。
★ご質問
★結論
落語界の慣習とかはわかりませんが、
法律上の話をすると、著作権が切れている作品であれば、
当然著作権はありませんので、そのまま上演したり、ネット上で配信したりすることは問題ありません。
古典かどうかが問題なのではなく、
著作権が切れているかどうかが問題なんですね。
★解説
では著作権が切れているかどうかをどう調べればいいのかというと、
その落語を創作した人が亡くなってから70年経過していれば、
著作権が消滅しています。
また、70年経過していなくても、
創作者が1967年までに亡くなっている場合も、
著作権が消滅しています。
なんで1967年かというと、
以前は70年じゃなくて50年だったんですね。
でも、2018年に著作権法が改正されて70年に伸びたため、
1968年以降に亡くなった人は、20年間権利の保護期間が伸びたからです。
その前の1967年までに亡くなった人は、
2017年で権利が消滅しているので、
一度消滅したら復活しないからです。
なので、その落語が誰によって創作されたのか、
そして、その方がご存命なのか、亡くなったとしたらいつ亡くなったのか、
を調べることがポイントになります。
では、落語のオチなどを変えたりするのは問題ないか?
ということですが、
著作権が切れているなら、基本的には問題ありません。
内容を変更する行為は、
著作者人格権の同一性保持権が問題になるのですが、
創作者が亡くなると、同一性保持権は消滅するからです。
ただし、本人が生きていたとしたら、気分を害してしまうような変更は、
認められない場合があります。
これは、著作者が亡くなった後も
人格的利益を保護するという規定があるからですね。
なので、あまりにも趣旨を逸脱したような変更とか、
どぎつい内容への変更は、やめておいた方がいいでしょう。
ちなみに、著作権が切れた作品が、
現代語訳されたり、現代風にアレンジされたりした場合は、
それ自体に、新しい著作権が発生します。
なので、もし著作権が切れた落語を扱うというときでも、
原作品とちょっと違う部分がある場合は、
それを作った人に確認して、許可をもらうことが必要になります。
自分でアレンジする分には許可不要ですが、
他人がアレンジしたものは、その人の著作物ということですね。
以上の話は、落語以外のことでも同じことが言えますので、
ぜひ応用して考えてみてください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。