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今って、ディープラーニングの技術がものすごい進歩していますよね。
ビッグデータを解析して、特徴点を抽出することで、
人間が具体的に指示することなく、
音楽とか絵画をAIが創作している現状があります。
例えば、歌詞を入力すると、自動的にメロディーを創ってくれる
「CREEVO」というサイトがあります。
https://creevo-music.com
京都大学の研究プロジェクトで運営されているサービスで、
流石にまだ人間が創作した音楽より完成度は低いですが、
フィードバックを受けることで、
どんどん品質が向上していくのが面白いですよね。
また、AIが絵を創作する「dream」というアプリもあります。
文字を入力して、絵のスタイルを決めると、
数十秒で抽象画が出来上がります。
https://app.wombo.art
それから、AIが創作する小説としては、
「作家ですのよ」というプロジェクトが有名です。
https://www.fun.ac.jp/~kimagure_ai/
これは、ショートショートの作品で有名な
星新一さんの作品をAIが分析して、
新しいショートショート作品を創作しています。
それで、こういったAIが創作した作品に、
著作権があるのか、という問題があるのですが、
みなさんはあると思いますか?
実は現行の法律では、
「著作権はない」と考えられています。
これは日本だけでなく、他の国でも同様です。
なんでかというと、
「著作物」は法律上
「思想又は感情を創作的に表現したもの」
と定義されているからです。
人工知能って、思想も感情も持ってないですよね。
思想又は感情を創作的に表現していないから、
著作物ではない、
つまり著作権が発生していないということになります。
それから、特許に関しても同様に、
AIが創作したものは、特許の対象になりません。
特許で保護される「発明」は、
「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」
と、法律上定義されています。
「思想」も「創作」も、
人間だけがなし得るものと考えられているので、
人工知能が生み出したものは、
発明ではない、
したがって、特許権は与えられないということです。
もちろん、現在の法律では権利が発生しなくても、
将来どうなるかわかりません。
もしかしたら、著作権が認められるかもしれないし、
「AI著作権」のような、著作権とは別の新しい権利が発生するかもしれません。
ただし、注意が必要なのは、
AIを道具として利用しつつ、
人間の手がそこに加わっていたとしたら、
その作品には、著作権が発生する可能性があります。
あと、AIが他人の作品の著作権を侵害したとして、
誰を訴えればいいのか、誰に責任があるのかという問題もありますね。
それから、そもそも機械学習において、
他人の著作物を利用することは、
著作権侵害ではないか、という議論もあります。
このように、AIの創作に関しては、
まだはっきりと決まっていないことが多いですが、
少なくとも権利はまだないという点については、
頭の片隅にでも置いていただければと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。