著作権っていつ発生し、いつまで保護されるの?

著作権っていつ発生し、いつまで保護されるの?

2021年6月11日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/6020be658ba7e1d2561fca5c

著作権は、一度発生したら永久に権利が守られるわけではなく、
保護される期間が決まっています。

したがって今回は、著作権っていつ発生し、いつまで保護されるの?というテーマでお話します。

結論から言うと、
著作権は、著作物を「つくった時」に発生し、
著作物を「つくった人(著作者)が亡くなった後70年が経過」すると、消滅します。

では、この点を深掘りして解説します。

★著作権の発生

著作物を「つくった時」に発生するので、
著作権を発生させるために、何か申請をしたり登録をしてもらったりする必要は、ないということです。

意外と、「こういうのを作ったので著作権登録をお願いします」というご相談はあるのですが、
「権利の発生のために手続する必要はありませんよ」とお答えしています。

一応、著作権の登録制度はあるにはありますが、
こちらは、著作物が最初に世の中に公表された日や、
著作権を他の人に移転した場合に登録するもので、
トラブル防止のためのものです。
お間違いのないようにしてください。

★著作権の消滅

「つくった人(著作者)が亡くなった後70年が経過」すると、消滅します。
死後70年ですから、かなり長いですよね。
以前は「50年」だったのですが、
2018年の12月30日から「70年」になりました。
これはTPP11(環太平洋パートナーシップ協定)を結んだことによる、
法改正が施行されたためです。

ちなみに、2018年の12月30日から期間が変わったので、
それより前に権利が消滅したものは復活しませんので、ご安心ください。

★計算の仕方に注意

ちょっと注意が必要なのは、権利消滅の日の計算がやや変わっている点です。
例えば、画家のAさんが今日2021年2月8日に亡くなったとします。
Aさんの絵の著作権は、Aさんの死後70年後に消滅するから、
2091年2月8日に消滅すると思いがちです。

でも実際は、70年のカウントダウンが始まるのは、
亡くなった年の翌年1月1日からなんですね。
すなわち、翌年の2022年1月1日からカウントダウンが始まって、
2091年の12月31日にAさんの著作権が消滅することになります。

ちなみに、権利の保護期間が70年になった法改正により、
あと2年で権利消滅するはずだった著作権が、20年も生き延びてしまったケースがあります。
みなさんご存知の「三島由紀夫」です。
三島由紀夫は1970年に亡くなったので、著作権は2020年12月31日に消滅するはずが、
例の法改正で20年延長になって、
2040年12月31日まで権利が保護されることになりました。

このように著作権の保護期間は計算が面倒なところがあるので、ご注意ください。

★4つの特別なケース

①共同著作物の場合

共同で本を書いたり絵を描いたりしたような場合は、どうしたら良いのでしょうか?
全員の作者の亡くなる時が一致することはほぼないので、問題となります。
こういうのを「共同著作物」と言うのですが、
「共同著作物」の場合は、「最後に亡くなった人の死後70年」で著作権が消滅することになります。

例えば、AさんとBさんの共著の本があったとして、
Aさんが2018年2月8日に亡くなり、Bさんが2021年2月8日に亡くなった場合、
Bさんが亡くなった翌年から70年の2091年の12月31日に、
その共著の本の著作権が消滅することになります。

②無名または変名の場合

これは、作者名が表示されてない場合や
ペンネームや略称など実名以外の名前で公表されている場合が該当します。
この場合は、作品を「公表してから70年」で著作権が消滅します。
なお、明らかに作者の死後70年経過してる場合や、
ペンネームなどが広く知られている場合は、
原則通り「死後70年」となります。

③団体名義の著作物の場合

団体名義で本を書いたりすることもあります。
この場合は、団体に属する最後の人が亡くなってから70年?と思ってしまいますが、
さすがに現実的ではないですよね。
なので、この場合は作品を「公表してから70年」で著作権が消滅することになります。

④外国人の著作物の場合

外国によって、権利の保護期間が異なっているので、日本とどちらを採用すればいいのか問題になります。
原則として、日本と同じで、作者の「死後70年」が保護期間になります。
ただし、日本より保護期間が短い国の人の著作物については、
その短い国の保護期間が採用されます。

例えば、台湾では作者の「死後50年」が保護期間になるので、
台湾人の方が書いた本などは、日本でも「死後50年」で著作権が消滅します。

以上をまとめますと、
著作権の発生には、申請手続や登録が一切不要であること、
保護期間は、原則として死後70年で、期間の計算は亡くなった翌年から計算すること、
など覚えていただければと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。