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★ご質問
・匿名希望さん
この後、6つのケースが挙げられていて、
それぞれについて侵害に当たるかどうかを聞かれています。
ちょっと長いので整理しますと、
・(A)「無料の素材」を使う場合と、(B)本などの「有料の素材」を一部使う場合に分かれていて、
それぞれについて、
・(1)「個人レッスン」する場合、(2)「プラットフォームで無料で公開」する場合、(3)「プラットフォームで有料で公開」する場合
にどうですか?という話ですね。
また、「無料の素材とは、メールアドレスを登録して手に入れたもの、または登録などをせずにYouTubeやネット上で手に入れられるもの」と説明されています。
★結論
結論から言いますと、
(1)の個人の対面のレッスンでテキストを使うのは、コピーをしなければ、おそらく著作権侵害にならないと考えられます。
これは、有料でも無料でも変わりません。
ただ、メールアドレスを登録して手に入れたもの、ネット上で手に入れられるものをレッスンで使う時、
おそらく文章に起こして使ったり、教材化するに当たってコピペしているはずなので、
これはコピーに当たります。
したがって、著作権の「複製権」の侵害に該当する可能性があります。
したがって、生徒さんにテキストを購入してもらって、
あるいは先生の方で用意してもらって、
それをマンツーマンの対面の個別指導で使う方が安心です。
一方、複数人に対して対面で指導する時は、
著作権の「口述権」の侵害に該当する可能性があります。
それから、
(2),(3)のプラットフォームで公開するのは、有料無料問わず、
著作権の「複製権」や「公衆送信権」の侵害になる可能性があります。
つまり、全部の場合で著作権侵害の可能性がある、ということですね。
★例外の話
ただ、「例外」があって、
「引用」に該当する場合には、
他人の著作物を利用しても侵害にはなりません。
「引用」については、以前の記事ですでに解説しているので、
そちらもぜひご参照ください。
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1766″]
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1793″]
- [cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1808″]
その上で、
①引用したテキストなどの素材部分と、自分の解説などのその他の部分を区別できるようにします。
具体的には、カギカッコとかダブルクォーテーションでくくるとか、書体を変えるとかですね。
動画の中だったら、ちょっと読み方に変化をつけるとか、前後に間を空けるといった工夫が考えられます。
次に、
②引用した部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメインになるようにします。
例えば、問題は引用するけど、解説は先生のオリジナルの解説を記載しておくみたいな感じです。
あるいは、問題も先生のオリジナルが大半で、中に引用するものもちらほら含める形なら、
解説部分が少なくてもバランスが取れます。
それから、質問者さんは英語の先生なので、英文は引用で、日本語訳はオリジナル、みたいな感じでしょうか。
ようは、引用の目的上正当な範囲内と言えるように、全体の中でオリジナルと引用のバランスを考えるということです。
それから
③出典を表示します。
引用元の本などの題名と著者名などを書きます。
そして、
④引用部分は、勝手に表現を変えてはいけません。
そのまんま抜き出すと言うことですね。
また、
⑤引用できるものは、すでに世の中に公開されている著作物が対象になります。
未公開のものはNGです。
有料で販売されてるコンテンツも公開されているものに入りますが、
個人的なやりとりの中で生まれた表現などは未公開ですので、ご注意ください。
以上、「引用」に該当するように他人の著作物を利用すれば、
著作権侵害には該当しませんので、覚えておいてください。
★結局どうしたらいいか
最後に、結局どうしたらいいのか?ですが、
・(1)「個人のマンツーマンの対面レッスンで、コピーせずに使う」
のであれば、著作権の問題はありません。
一方、
・(1)「マンツーマンの対面レッスンで、コピーして使う場合」「複数人に対して対面で指導する場合」(2),(3)「プラットフォーム上で使う場合」は、「引用」の範囲に収めて、自分オリジナルの部分をメインにすることが必要です。
持ってくる素材が有料か無料かは関係ありません。
もし「引用」に該当しそうにないなら、
ちゃんと権利元から許諾をもらうことも、
お考えいただければと思います。
以上が回答になります。
ご参考いただければ幸いです。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。