「著作権フリー」の表記を信じるな!

「著作権フリー」の表記を信じるな!

2021年5月5日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/600261ec6e04f748f3a1326b

★「著作権フリー」は3種類

情報発信している人が、自分の作ったコンテンツをより良い形で、
見てくれる人・聴いてくれる人に届けたい、といった場合、
ネット上に落ちている画像や音楽、動画などの素材を使うことがあるかと思います。

そのような時に、「著作権」の揉め事を起こしたくないから、
「著作権フリー」のものを使うことが多いですよね。

ところが、ひとくちに「著作権フリー」と言っても、
そこには3つの「フリー」の意味があることをご存知ですか?

★「自由」の「フリー」

1つ目は「自由」の「フリー」です。
こちらは、著作権の保護期間が切れているような場合や、
相続人がいなくて権利が消滅した場合、
そもそも著作権の保護対象でない場合が挙げられます。
自由に利用できることが法律で決まっているという意味です。
別名で「パブリックドメイン」と呼ぶこともあります。

★「無料」の「フリー」

2つ目は「無料」の「フリー」です。
こちらは、無料で素材を使ってもいいよという意味です。
必ずしも、自由に使っていいわけではなく、
コンテンツホルダーとしては「個人的な利用」に止めて欲しいケースもあります。

★「解放」の「フリー」

3つ目は「解放」の「フリー」です。
こちらは、有料か無料かは関係なく、
使用を許可した範囲内では、いくらでも使っていいよという意味です。
権利としてはコンテンツホルダーに所属している上で、
そのコンテンツホルダーの意思で、著作権は行使しませんと言っているのがこちらになります。

このうち、2つ目と3つ目は、法律で決まっていることではないので、
必ず「フリー」と称しているサイトの規約を確認することが重要です。
この規約の内容こそが、コンテンツを利用できる期間や媒体や方法などを取り決めているからです。

★「著作権フリー」としか書いてない場合

問題なのが「著作権フリー」としか書いてない場合ですよね。
どのくらいの期間、どんな媒体に、どんな方法で使用していいのか、
いまいちわからないからです。
「著作権放棄します」と書いてある場合も同様です。

なので、特に使用許可の範囲が書いてない場合は、
面倒かもしれないけど、その作者や権利者に、
どこまで使用していいのかを問い合わせてみることをおすすめします。

★「著作権フリー」を誤解した場合

もう1つ問題なのが、「著作権フリー」の表示を信じて使ったけど、
実はそのコンテンツは、本当の権利者の許可を得ていないものだったというケースです。

実際にあった事件なのですが、
法律事務所のウェブサイトを作る担当の人が、どこかのサイトから「フリー素材」を見つけてきて、
それを信じて画像を使用したところ、
その画像を元々管理してサービスとして提供していた会社に、
著作権侵害だとして裁判を起こされて、損害賠償請求が認められたことがありました。
(東京地裁平成27年4月15日判決平成26(ワ)24391号損害賠償請求事件)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85082

つまり、「著作権フリー」と書いてあっても、
本当にその人が著作権を持っているとは限らないので、
注意する必要があります。

★ちゃんとしたサイトを使おう

とはいえ、本当の権利者かどうかを調べるのは大変なので、
とりあえず「著作権フリー」としか書いてない怪しいサイトは使わず
権利の関係や使用許可の条件・範囲をきちんと示している、
ちゃんとしたサイトを利用されることをおすすめします。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。