ブランドは味をも変える

2017年5月15日
持続可能なブランドコミュニケーションをつくる

「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。

その昔、今から40年ほど前です。
米国にて「ペプシチャレンジ」というキャンペーンがありました。「ペプシ」が、業界トップの「コカ・コーラ」に対抗するため、
飲み比べのイベントを行ったのです。やり方はカンタン。
コーラ好きの参加者に、ブランド名が見えない状態で、「ペプシ」と「コカ・コーラ」を味見させて、
どちらが美味しいか?答えてもらうというもの。

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コカ・コーラ及びペプシ公式HPより引用)

その結果、どうなったと思いますか?
なんと、大多数が「ペプシ」の方を「美味しい」と答えたのです。
みなさんはどちらが好みでしょうか?
最近コーラを飲んでませんが、高校生くらいの時は「ペプシ」の方をよく飲んでいたと記憶しています。
いずれにせよこの調査結果で、「ペプシ」は知名度を上げることに成功しました。

しかし、この話には続きがあります。
なんと、ブランド名を見た場合は、
「コカ・コーラ」の方が多く選ばれたのです。
味は変わらないはずなのに。

ブランドには、商品の味を変えてしまう力があるのですね。
つまり、人間の意思決定において、ブランドがバイアスをかけているのです。

「直感」で選ぶとしても、その前には何らかの「知覚」があるわけですから、
ブランディングはその「知覚」をコントロールして、人間の意思決定にはたらきかけること、
ともいえるでしょう。

「美味しくない」ものを「美味しそう」に見せるのは「詐欺だ!」と言われてもしかたないですが、
「美味しい」を「美味しそう」に見せないことも、あるいみ「詐欺」かもしれません。
本当にその商品を必要としている人に、届けることができないのですから。
他方で、万人に「美味しそう」と思われることは事実上不可能ですし、その必要もありません。
こんな人に「美味しそう」と思ってほしい“というところに、
それにふさわしいイメージを投げかけていけばいいのですね。

ちなみに、他社製品との「比較広告」については、
「景品表示法」の「不当表示」に該当しないように、ご注意ください。
自社の商品・サービスの内容や取引条件が、
競合のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示等は規制されます。

消費者庁の見解もご参考ください。
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/hikaku.html