※2020年12月8日配信メルマガVol.101より抜粋(一部加筆修正あり)
日本で最初の「格安携帯会社」誕生のきっかけ
菅政権の目玉政策の1つでもある、携帯電話料金の値下げ。
NTTドコモが、月額2,980円(税別)で20G利用できる新料金プランを発表して話題になりましたが、
これを機に大手キャリアの値下げ合戦が始まってくれたら
「利用者としては」嬉しいなあと思っている今日この頃です。
今でこそ、「格安携帯」「格安スマホ」「格安SIM」といった言葉は当たり前ですが、
そんな言葉すらなかった2013年、日本で最初の「格安携帯会社」が誕生しました。
その会社が「X-mobile」です。
当時まだ20代だった創業者の木野社長が、
ウィルコムの元執行役員だった鈴木氏(現・東村山市議員)と、
格安航空会社の「エアアジアX」の航空機内で
偶然座席を隣り合わせた(席を間違えたらしい)ことをきっかけにスタートしました。
エアアジアから格安携帯のヒントを得た
木野社長は、当時マレーシアに住んでいましたが、
格安の「エアアジアX」と、いい値段のする国営のような「マレーシアエアライン」が、
マレーシアの2大エアラインとして存在していることに興味を持ち、
エアアジアの社長が主催する勉強会などに参加し始めたそうです。
「エアアジア」は、もともと潰れた会社を1リンギット(約20円)で買い取った会社でした。
それを再建して時価総額1兆に迫る、マレーシアで最も成功したベンチャーに成長したのだから驚きです。
木野社長は、そこからヒントを得て、
「日本でも高止まりした業界で、エアアジアのようなことができればイノベーションが起こせるはず」
「そうだ、携帯電話だ!」
と思い立ちました。
マレーシアは携帯キャリアが20社もあり、端末も何百種類とありました。
同じXperiaでも、8,000円のものもあれば、10万円のものもあって、
コストパフォーマンスを考えながら選べます。
ところが日本ではどうでしょう?
10万円以上のものが数種類と、選択肢が少ない上にどれも高く、
自由にスマホを買うことすら満足にできません。
そこに風穴を開けることができれば、大きなイノベーションになると踏んだのでした。
ライフネット生命をモデルにするも頓挫
ところが大手キャリア3社が寡占する中で、
1から通信事業を立ち上げるのは、苦難の連続でした。
最初は、ネット販売で営業コストを減らした分、低価格で保険商品を売る「ライフネット生命」をモデルとして、
「ネット携帯キャリア」の道を歩もうと準備を進めていました。
そんな中で、TSUTAYAや楽天、SoftBankなどの大手会社のオーナーに直接プレゼンをしに行っていましたが、
彼ら自身で「格安携帯会社」を始めてしまって(Y!mobile、楽天モバイル等)、
ネットでは勝負にならないと考えたのです。
逆に保険代理店をヒントに販売網構築
そこで木野社長は、自身の実家が経営している保険代理店が70年も続いていることにヒントを得ます。
70年も前に保険に入ったお客さんが、3代続いてまだ残っている。
地元の代理店とお客さんの結びつき・信頼関係は、
ネットにも負けないものがあると気づいたのです。
そこで、代理店を募集して販売網を作ることにしました。
この販売網を作るに当たっても、
「トヨペット」など「トヨタ」のディーラーと、「日産」のディーラーの違いに着目します。
「日産」は、まずは技術のしっかりした商品を作り、素晴らしい商品ならお客さんはわかってくれるから売れるはずだと考え、
「トヨタ」は、まずは販売網を作って、技術や商品のことは後から考えようという、スタンスの違いがありました。
結果はどうなったか?
お分かりの通り、「トヨタ」がシェアNo.1となりました。
そこで、まずは手当たり次第、代理店としてX-mobileを販売してくれる人を探しました。
マレーシア帰りで人脈も何もない青年ですから、やり方は至ってシンプルです。
ホテルの喫茶店などで、
良さそうなスーツを着たお金持ちそうなおじさん1人1人に、
手当たり次第話しかけて口説いていったのです。
最初の代理店が誕生するまで、なんと1,000人にプレゼンしたそうです。
そんな地道な努力のかいもあって、
プレゼン数5,000人を超える今では、600社が代理店になりました。
その中には、日本郵政や他の上場企業も含まれています。
こうしてX-mobileは、格安携帯業界ではおそらく全国No.1の販売網を構築するに至りました。
洞察力・発想力×と行動力の掛け算
木野社長のすごいところは、
凄まじい行動力は言わずもがなですが、
他業界からヒントを得る洞察力、発想力ではないでしょうか。
各地に販売代理店を置くことは、それほど新しいビジネスモデルではありませんが、
競合との資本力の差を把握した上で、
営業方法に違いをつけることで、
不利な面を補っている点が素晴らしいです。
同業他社と比べて不利な点がある場合、
他業界の事例に情報を求めると、
意外なヒントが隠れているかもしれませんね。
本記事の続きはこちら↓
【サムライツ(R)】公式メルマガ(無料) | |
姓 * | |
名 * | |
メールアドレス * |