「『竹田ブラシ』はなぜ国民栄誉賞の副賞に選ばれたのか」

「『竹田ブラシ』はなぜ国民栄誉賞の副賞に選ばれたのか」

※2019年6月18日配信メルマガVol.24より抜粋(一部加筆修正あり)

「竹田ブラシ」について

2011年の夏、日本が東日本大震災からの復興を目指していた頃に、なでしこJAPANがW杯優勝の明るいニュースをもたらしてくれたことは記憶に新しいですね。
そして、チームに国民栄誉賞が授与されたわけですが、その際に副賞として贈られたのが「有限会社竹田ブラシ製作所」の「化粧ブラシセット」でした。
http://takeda-brush.com/

竹田ブラシは、営業部門もない小さな会社だそうですが、
なぜ、このような大きな仕事を受注できたのでしょうか?

元々、竹田ブラシのある広島県の熊野町は、
江戸時代後期より「筆」の産地として著名でした。
原材料は他所から調達し、生産技術と営業・販売ノウハウのみで成り立つ
珍しい産地だったのです。

分業による量産体制を整え、
伝統工芸品の筆の産地として、確固たる地位を築き、
熊野事業協同組合は「熊野筆」の団体商標登録も果たしました(登録第4827487号、5885422号)。

そんな中、竹田ブラシは熊野町初の化粧ブラシメーカーとして、
都内への常設店舗の設置や全国百貨店での催事販売にとどまらず、
早くから世界に向けて製品を開発し輸出していました。

当然世界を相手にするわけなので、新規性が高く、ブランド力のある商品が求められます。
そこで竹田ブラシは、欧州製のイタチ毛を従来の2倍以上使用し、穂先の形状を山型に仕上げた携帯用リップブラシや、
ボタンをスライドさせるとケースの蓋が開口し、穂先が出入りするチークブラシ等、様々な商品を開発。
新規性の高い商品は市場に受け入れられ、大ヒットを記録しました。

模倣品登場をきっかけに知財による保護を開始

しかし、知的財産に関しては、「どうせ無理ではないか」と可能性を探ることなく放置していたところ、
日本のみならず、韓国や中国でもコピー商品が登場し、憂き目に遭ったそうです。
特許はともかく、デザインの意匠登録をしておけば、コピー商品を防げたのではないかと、
同社は回顧しています。

そうした経緯もあり、その後は特許や実用新案出願に加え、ブラシのデザインの意匠登録
商品名とロゴマークの商標登録国内外で積極的に取得して、
模倣品対策もしっかり行うようになりました。

「竹田ブラシ(Takeda Brush)」が世界のブランドに

結果、世界初の技術と、世界最高品質を全面に押し出すブランド戦略に成功。
地域のブランドである「熊野筆」とともに、「竹田ブラシ(Takeda Brush)」の名も知れ渡りました。

竹田ブラシが最も注力した取り組みの一つには、「信用の獲得」が挙げられます。
例えば、撮影等の現場でのメイクを生業とするメイクアップアーティストによる、「コンサルタント販売の導入」もその一つ。
また、「5年間保証」や、「メンテナンスガイドの添付」等、良い状態で長期間使ってもらうことを意識しています。

こうした地道な取り組みも相まって、
口コミが広がり、メディアに取り上げられ、
国民栄誉賞の際に内閣府からの依頼を取り付けたわけですね。

ちなみに、地域共有のブランドと自社独自のブランドは、時にぶつかりあうものですが、
「熊野筆」と「竹田ブラシ」は、お互いを高めあっているような印象を受けました。

※サムネ画像は有限会社竹田ブラシ製作所HPより引用

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