「フランクミュラー」VS「フランク三浦」の行方

2017年3月7日

持続可能なブランドコミュニケーションをつくる
「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。

昨日は千葉でセミナーでした!
しかし、今一番話題の「フランク三浦」の事件について取り上げていませんでした汗
最近知的財産関連ニュース多すぎ…

産経ニュースより
http://www.sankei.com/affairs/news/170306/afr1703060047-n1.html
みなさんはどう思いますか?

ことの経緯は、
2012年に「フランク三浦」(浦の字に右上部の「、」がありません)が商標登録されたところ、
2015年に、フランクミュラー側が、登録無効を求めて審判請求をしたことに始まります。
「フランクミウラ」と「フランクミュラー」、発音が似てるから混同するでしょ、ということです。

その審判では「登録無効」と判断されたのですが、
フランク三浦側が、その判断の取り消しを求めて訴訟を起こしたのです。
すると裁判では、
「フランク三浦」は日本の姓や地名を表す「三浦」の文字を含むから、
外国の高級ブランド「フランクミュラー」とは、似ても似つかないでしょうと。
価格帯もまったく違うし、相手に模倣の意図があったとか関係ない
「フランク三浦」の登録を無効にした判断を取り消す、
と判断されたのですね。

つまり、「フランク三浦」勝利です。

その判決に対して、「フランクミュラー」が最高裁に上告したわけですが、判断は覆らず。
「フランク三浦」を登録無効とした判断が取り消されることになったのです。(つまり、「フランク三浦」の登録が有効)

商標は、自他の商品・サービスを見分ける目印です。
”明らかなパロディ”と、消費者は理解しているから、
ちゃんと見分けられて、混同することはない、ということなのですね。

今回は文字の商標についての争いでしたが、
時計のデザインなんかは、じっくり見れば違うのですが、
パッと見た感じでは似ているものも多いようにも思います。文字盤のデザインが特に。
2016年4月14日付の東京新聞ニュースをご参照)

だからもし、フランクミュラー側が時計のデザインについて意匠権を持っていて、意匠で個々の商品に対して戦っていたら、結果は違っていたかも?なんて思いました。訴訟費用もかかるし、タラレバですけども。

じゃあ「フランク三浦」が今後も安泰かといえば、わかりませんね。
何しろ裁判までしたわけですから、
一番の付加価値である「パロディとしての面白さ」が、減ってしまったと思います。ここは、パロディでやっている側の弱みでもあるんです。
人のフンドシで…と批判したいわけではないんですが、今後の行方が気になりますね。