同じアイコン画像を意匠と商標の両方で権利化する理由

同じアイコン画像を意匠と商標の両方で権利化する理由

※2022年2月1日配信メルマガVol.161より抜粋(一部加筆修正あり)

アプリ等のアイコン画像の意匠登録

令和元年の法改正により、
画像の意匠」も登録できるようになりました。

全ての画像が登録対象になるわけではなく
電子機器等の操作のために表示されるものや、
操作等により機能を発揮した結果表示されるものが対象になります。

後者の方は、何かの測定結果を表示する画像や、
現在時刻を壁などに投影する画像等が該当します。

前者の方は、商品購入用のウェブサイトの画像や、
アイコン用の画像等が該当します。
つまり、アプリ等のアイコン画像も、
意匠権で保護できる
ようになったのですね。

アイコン画像の意匠登録事例

例えば、三谷セキサンという会社が、
杭工事の施工管理を円滑確実に実施するためのツール
「Check & View」のアイコンを意匠登録しています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2020-024146/A187EC5B87AC95CECE2E309C74D5DEE8BFA8CE4FA7E851E82868AD69644E8E1C/30/ja

そして、実はこの意匠出願と同日に、
同じ画像を商標出願しており、
こちらも登録されています。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2020-138760/5E582F0E64B23C04EC96AE9F9D2A2611A7AA26378EC62642FE29164418A2F222/40/ja

TOTO株式会社なんかも、
同じアイコン画像の意匠と商標登録をしていますね。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/DE/JP-2021-006627/113C5F81E13211FFE7402DDEE2914F581EF344C08E3CB52699D5487DB6DCD008/30/ja

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2021-039463/6B4FDA55D55E1684412BD023027EBB6D20CC8B5CD06A50FAC574F515DF390809/40/ja

同じアイコン画像を意匠と商標で出願する理由

なぜわざわざ、同じ画像を意匠と商標で出願する必要があるのか、
どう違うのか、わかりますか?

①保護対象・目的が異なる

1つは、「両者は保護する対象・目的が異なっている」という理由が挙げられます。
意匠権は「新しいデザインを守る権利」であり、
商標権は「自社と他社の商品・サービスを見分ける識別マークを守る権利」なので、
同じ画像を守るといっても、全く異なる目的なのですね。

したがって、例えば商標権だけを持っていた場合は、
商品・サービスが異なると権利を主張することができません

すなわち、異なる指定商品・サービスについて、
全く同じ画像を他者に使われてしまったり、
逆に商標権を取られてしまったりする恐れがあります。

②権利の保護期間が異なる

もう1つは、「権利の保護期間が異なっている」という理由が挙げられます。
意匠権は「出願の日から最長で25年」保護されますが、
商標権は「登録の日から10年ごとの更新により半永久的に」保護されます。
つまり、意匠権はリミットが決まっていますが、
商標権は更新し続ければ半永久的に保有し続けることができるのです。

したがって、例えば意匠権だけを持っていた場合は、
出願から25年経過後は保護されない
ことになり、
全く同じ画像を他者に使われてしまったり、
逆に商標権を取られてしまったりする恐れがあります。

こうした理由から、意匠と商標を組み合わせて、
万全な権利保護
を図っているのですね。

出願は「同時」か、「意匠を先」に

ちなみに、出願する際は同時か、少なくとも意匠が先であることが望ましいです。
なぜなら、意匠は画像を一般に公開してしまうと、
権利が取れなくなる
からです。
商標出願をすると、1ヶ月くらいで出願内容が公開されてしまうので、
その後は意匠出願ができなくなってしまいます。

この点は、十分に戦略を練った上で、
出願計画を進められてくださいね。

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