「新しく始めるお店の名前、すでに他社に登録されているけれど、ロゴのデザインを全く違うものにすれば商標登録できるのかな?」 「文字のフォントや色、マークをおしゃれに変えれば、同じ名前でも別物として認められる?」
開業や起業に向けてブランドのロゴマークを作っているとき、このような疑問を持つ方はとても多いです。デザイナーにお願いしてオリジナルの素敵なロゴが完成すると、「これなら他社と区別がつくはずだ」と期待が高まりますよね。
結論からお伝えすると、名前(読み方)が同じであっても、デザイン(見た目)や意味合いが大きく異なり、消費者が「別の会社のものだ」とハッキリ区別できるのであれば、商標登録が認められるケースは多々あります。
ただし、単にフォントを少し変えただけでは不合格になることも多く、特許庁がどのような基準で審査しているのかを知っておくことが大切です。この記事では、文字とロゴの商標の違いや、審査の合否を分けるポイントを初心者向けにかみ砕いて解説します。
目次
1. 知っておきたい「文字商標」と「ロゴ商標」の違い
商標には、大きく分けて「文字商標」と「ロゴ商標」の2つのタイプがあります。
- 文字商標とは: デザインを施さず、標準的な文字そのものの「名前」や「響き」を保護する商標です。
- ロゴ商標とは: 文字に特定のフォントや色、図形(マーク)を組み合わせた、デザイン全体を保護する商標です。
もし、ライバル企業が特定の名前を「文字商標」で登録していたとしても、あなたが応募する「ロゴ商標」のデザイン(見た目)に強いオリジナリティがあり、他社の文字商標とは全く違う印象を消費者に与えられるのであれば、同じ名前であっても併存して登録できるチャンスがあります。
2. 特許庁はどう判断する?商標の「3つの類似基準」と総合判断
なぜデザインや工夫次第で「同じ名前でもセーフ」になるのでしょうか。それは、特許庁が「指定したビジネスの範囲(商品・役務)」が同じである前提のもと、以下の3つの要素をチェックしているからです。
商標の類似性を決める3大要素
- 称呼(しょうこ) ➔ 読み方(音の響き)
- 外観(がいかん) ➔ 見た目(文字の形やデザイン)
- 観念(かんねん) ➔ 意味(言葉から連想されるイメージ)
最も重要なのは「出所混同(しゅっしょこんどう)のおそれ」
商標の審査では、これら3つの要素を機械的に切り離して「1つでも被ったら即アウト」とするわけではありません。
審査基準では、外観・称呼・観念が消費者に与える印象を総合して全体的に観察(全体観察)することになっています。そして最終的に、「消費者がそのロゴを見たときに、どこの会社の商品・サービスか分からなくなる(出所混同のおそれがある)か否か」で判断されます。
そのため、たとえ「読み方(称呼)」が同じであっても、文字のデザイン(外観)や言葉が持つ意味(観念)が大きく異なり、消費者が「あ、あのお店のロゴとは全然違うな」と直感的に見分けられるのであれば、全体として「類似しない(登録できる)」と判断されるのです。
3. 【具体例】同じ名前でも登録できるケース・できないケース
指定したビジネスの範囲(商品・役務)が同じである前提で、どのような場合なら登録が認められ、どのような場合だと拒絶されてしまうのか、具体例を見ていきましょう。
① 登録が難しいケース(出所混同のおそれがある)
他社が標準的な文字で「SAKURA」という商標を登録しているところに、あなたが一般的なゴシック体フォントで「Sakura」というロゴマークを出願した場合です。 これは文字の形を少し変えた程度(外観の差異がわずか)とみなされ、読み方も意味も同じであるため、全体として消費者が間違えやすい(類似している)と判断され、拒絶される可能性が非常に高くなります。
② 登録できる可能性があるケース(全体として区別がつく)
一方で、文字が極端に図形化・デザイン化されており、パッと見では別のマークにしか見えないほど外観が大きく違う場合や、他の文字・図形と結合することで全く異なる意味(観念)を連想させる場合などは、同じ読み方であっても「出所の混同が起きない」として登録が認められることがあります。
過去に、同じ読み方でも、外観や観念等が異なることで全体として非類似と判断された事例を紹介していますので、そちらも参考にしてください。
https://samuraitz.com/weblog/trademark/6440/
https://samuraitz.com/weblog/trademark/6574/
https://samuraitz.com/weblog/trademark/6609/
https://samuraitz.com/weblog/trademark/6523/
4. 「デザインが違うから大丈夫」と、自己判断で使い続けるリスク
このように、同じ名前でもデザインの工夫次第で商標登録できる道は残されています。しかし、「デザインをアレンジしたから、商標登録の手続きをせずにこのまま使おう」と自己判断するのは大変危険です。
なぜなら、あなたのロゴが特許庁の基準で「出所混同のおそれ(類似)がある」とみなされた場合、気づかないうちに他社の商標権侵害になってしまう場合があるからです。
商標権を持つ会社から「我が社の登録商標と出所混同のおそれがあります」と警告(差止請求)を受け、看板の撤去や損害賠償を求められるリスクを避けるためにも、独断での運用は絶対に避けましょう。
5. 起業時に失敗しないための対策と、専門家に相談するメリット
愛着のある名前やロゴを一生モノの資産にするために、起業・開業前の段階で以下の対策を行うことが成功の鍵となります。
ネーミングやロゴ制作の段階から「商標調査」を行う
ロゴのデザイン制作に大きなお金をかける前に、まずは使いたい名前の登録状況をしっかりと調査しましょう。その上で、もし似た商標が見つかったとしても、諦める必要はありません。「どうデザインを工夫すれば、全体として非類似(登録可能)に持ち込めるか」を逆算して戦略を立てることができます。
専門家(弁理士)へ相談するメリット
知的財産のプロである弁理士に相談すれば、以下のようなメリットがあります。
- 過去の膨大なデータから、「このデザインなら出所混同のおそれがない(登録できる)か」を精密に判定してくれる
- 文字商標として狙うべきか、外観で差別化をはかるロゴ商標として狙うべきか、自社のビジネスに合わせた最適な出願戦略を提案してくれる
プロの力を借りることで、同じ名前のリスクを回避しつつ、自社のブランド認知度を最大化するロゴ商標の獲得を目指せます。
6. まとめ:デザインと意味の工夫で、賢くブランドを守ろう
商標登録において、「同じ名前だからデザインを変えても100%無理」ということはありません。
- 商標の類否は、「外観・称呼・観念」を総合して全体的に観察される
- 最終的に「出所混同のおそれ(どこの会社か分からなくなるリスク)」がなければ、同じ名前でも登録できるケースはある
- ただし、フォントを少し変えただけの自己判断は、商標権侵害を招くため非常に危険
日本の商標制度は、一番早く特許庁に申請した人に権利を与える「先願主義」という原則があります。だからこそ、ロゴを確定させて世の中に公開する前の段階で、プロのアドバイスを取り入れながら戦略的な出願を進めましょう。
「この名前やロゴで勝負したい!」と思ったら、まずはプロに相談してみませんか?
「使いたい名前がすでに使われているけれど、ロゴを工夫すれば登録できる?」「文字とロゴ、どちらの形式で出願するのが有利か知りたい」とお悩みの方は、ぜひサムライツ知財事務所へご相談ください。
サムライツ知財事務所では、難しい法律の専門用語をわかりやすく噛み砕き、これから新しい一歩を踏み出す起業家や個人事業主の方の立場に立って、親身にアドバイスを行っています。
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