※2022年1月4日配信メルマガVol.157より抜粋(一部加筆修正あり)
80対20の法則(パレートの法則)
「80対20の法則」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
元々は「パレートの法則」といって、
「ある特定の20%の要素が、全体の80%の数値をもたらす」
といった法則です(経験則とも言われます)。
1896年にイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発表しました。
上位20%の富裕層が、全体の80%の資産を占めている、とよく言われますよね。
これをビジネスの現場に当てはめて、
- 20%の顧客が、全体の80%の売り上げをもたらす
- 20%の商品・サービスが、全体の80%の売り上げをもたらす
- 20%の社員が、全体の80%の売り上げをもたらす
- 20%の時間が、全体の80%の成果をもたらす
- 20%の機能が、全体の80%の利便性をもたらす
などと言われます。
商標出願の80対20の法則
そして、商標の世界で言えば、
願書の記載を、「商標の内容(20%)」「指定商品・役務の内容(20%)」
「出願人名や住所(20%)」「特許印紙の貼付(20%)」「その他の書誌事項(20%)」
の5つに分けるとすると、
- 商標の「登録可能性」の80%は、20%の「商標の内容」で決まり、
- 商標の「権利としての重要な部分」の80%は、20%の「指定商品・役務の内容」で決まる
ということを知らない人も多いのではないでしょうか。
「指定商品・役務の内容」がズレていると危険
実はこの2つの区別が付いていないと、
「商標の内容」で登録は取れたけど、
「指定商品・役務の内容」がおかしくて、
事業に必要な部分(権利としての重要な部分)をカバーしきれていない
といった事態が生じるのです。
これの怖いところは、
特許庁の審査官も指摘してくれないところです。
つまり、いつの間にか本当に必要な「指定商品・役務」を他者に取られてしまって、
気づいたら相手から警告されて、商標を使えなくなってしまう…
ということが起きてしまうんですね。
新規事業を始める際は、必ず自分の商標権をチェック
そして、これは弁理士や出願人本人に責任がある場合もありますが、
時代の変化で新規事業を始めることになり、
当初登録していた「指定商品・役務」の範囲を超えて、
商標を使うことになった場合にも生じ得ます。
したがって、何か新しいことを始める時は、
必ず、「今の商標権で、今の指定商品・役務で、この事業をカバーできるかどうか」
と確認することが必要になります。
その判断は、やはり商標を専門でやってきた弁理士に委ねることが大切です。
というのも、「指定商品・役務」の表現は特殊で、
自分が想定しているのとは違う商品・役務を
意味することもあるからです。
商標なんて簡単だから、
自分でも手続できるし、自分で判断できるし、
自分でできなくてもAIに任せればいいじゃん、
という考えはいったん横に置いて、
弊所のような商標専門弁理士にご相談いただければと思います。