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小田原といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?
「小田原城」とか、「小田原バーガー」とか、
色々ある中に「小田原かまぼこ」を挙げる方も多いのではないかと思います。
目次
小田原の業者も「小田原かまぼこ」使えない?!
そんな「小田原かまぼこ」ですが、
以前、「小田原かまぼこ」の名称を使っていた、
南足柄市の業者と小田原市の業者が訴えられたことがありました。
「小田原かまぼこ(小田原蒲鉾)」の名称を無断使用したということで、
製造販売行為の差止と、約5,000万円の損害賠償を請求されてしまったんですね。
南足柄市の業者はまだわかるのですが、
小田原市の方は地元の業者なのに使ったらダメなの?!と、
ちょっと驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
実はこの「小田原かまぼこ(小田原蒲鉾)」、
「地域団体商標」として「小田原蒲鉾協同組合」によって商標登録されているんですね。
(登録第5437574号、第5437575号)
地域団体商標とは
「地域団体商標」というのは、商標の一種ではありますが、
「地域名」と「商品名」又は「サービス名」からなる、
地域ブランドを守るための制度です。
普通は、「地域名」と「商品名・サービス名」の組み合わせは、
みんなが使える普通の名前なので、商標登録できないのですが、
一定の条件を満たすと商標登録が認められます。
なぜ、認められるかというと、
地域の事業者団体が協力しあって長年育ててきたブランドには、
保護すべき価値があるからなんですね。
こうして地域ブランドを守ることで、
地域経済の活性化を図る制度が、
「地域団体商標」という制度です。
「地域ブランド」が「地域の共有財産」とは限らない
結局、小田原の業者が訴えられてしまったのは、
商標権者である「小田原蒲鉾協同組合」に属していないのでダメ
ということなんですね。
そういう意味では、「地域団体商標」は、
“地域の共有財産である地域ブランドを守る制度”というよりも、
“地域ブランドを育ててきた団体やそこに属する人のために守る制度”
といえるかもしれません。
ついつい「地域ブランド」=「地域の共有財産」と考えがちですし、
実際に「地域ブランド」のおかげで、
地域全体の経済が活性化している事例も多々あります。
ただ、地域ブランドが保証する品質は、
きちんと品質管理する団体と、
そこに属する人たちの並々ならぬ努力の結晶なんですよね。
地域団体商標は、その証として登録を受けるものです。
それなのに、ただのりを許してしまうと、
地域団体商標を信用した、地域ブランドのファンを裏切ってしまうことになるので、
このような制度があるのですね。
地理的表示(GI)とは
「地域団体商標」と同じように、
地域名と産品名を組み合わせた名称を保護する制度として、
「地理的表示保護制度(GI)」があります。
「地域団体商標」は経済産業省の特許庁が登録するのに対し、
「地理的表示」は農林水産省が登録するので、
似てるけど全く種類の違う制度なんですね。
こちらの「地理的表示」は、
“地域の共有財産を守る制度”になるので、
条件さえ満たせば、誰でも使用できます。
この点で「地域団体商標」とは大きく異なるということがわかりますよね。
「地域団体商標」と「地理的表示(GI)」両方登録する時の注意点
ちなみに、「地域団体商標」に重ねて「地理的表示」を登録することも可能です。
しかし、「地理的表示」の登録をすると、
“地域の共有財産”になってしまうので、
農水省に登録した品質基準を満たせば、
誰でも使うことができます。
つまり、もし「小田原かまぼこ」が「地理的表示登録」もしていたら、
登録された条件を満たしている業者に対しては、
「地域団体商標登録されてるから使わないで」のような、
権利主張ができなくなってしまいます。
あくまでも地域の共有財産になってしまうからですね。
こういう制度の特質を知らないと、
うっかり両方登録してしまったり、
逆に両方とも登録しなかったりして、
地域ブランドの構築でつまづきかねないので、
注意していただきたいところです。
事件の行方
最後に、「小田原かまぼこ」の事件の行方ですが、
一審で、訴えられた側の使用の正当性が認められて、
棄却されました。
地域団体商標登録の前から「小田原かまぼこ」を使っていたんですね。
また南足柄についても、江戸時代に小田原藩の支配下にあり、
周辺地域では「小田原」と名乗るお店が多数存在することも考慮されたようです。
その結果を不服として、
小田原蒲鉾協同組合が控訴したのですが、
結局、知財高裁で和解に至りました。
今は商標の問題が起きていないようなので、
めでたしめでたしといったところですね。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。
