※2021年10月5日配信メルマガVol.144より抜粋(一部加筆修正あり)
ビジネスで攻める上での商標権取得の利点
前回は、商標権を取得したことにより、どのような利点があったのかについて
「ビジネスの守り」の側面からご紹介しました。
今回は「ビジネスの攻め」についてです。
今回も、特許庁の調査研究報告からシェアしつつ解説をしていきます。
※以下、引用符(””)部分は「商標権取得による効果及び商標制度の活用に関する調査研究報告書」より引用
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2018_01_zentai.pdf
①商標権をライセンスの根拠にできる
まずは、「商標権をライセンスの根拠にできる」という点です。
自社の持つ技術やノウハウなどを、他者にライセンスするには、
信頼に値する「根拠」が必要です。
そのためには、間違って使われたり、無断で使われたりすることがないよう、
いざという時に行使できる「権利」が必要ですよね。
その根拠となる権利として「商標権」が活躍することになります。
そして、
ライセンスにより相手先の商品の売上が上がっているのでまとまったライセンス料が得られ喜んでいる。(製造業)
ロイヤルティは投資も仕入れもいらず、営業利益そのものなので、経営で大きなウエイトを持っている。(製造業)
とあるように、
コストをかけずに売上(又は営業外収益)となるライセンス料収入を得られるようになることは、
経営において非常に大きな役割を果たします。
また、
自社ブランドをライセンスすることでさまざまな商品に横展開でき、自社製品以外の製品の消費者にもブランドが浸透する効果が期待できる。(製造業)
コラボレーション商品を通じて商品の認知度が向上し、売上に貢献した。(製造業)
無償でライセンスすることで、その会社に使ってもらうことによってブランドを広めてもらうという効果も得ている。こういった新しい商品形態によってブランドが認知され、自社製品に対して新規ユーザーへの訴求がなされている。(製造業)
とあるように、
ライセンスによりコラボ商品などの形で展開することで、
ブランドの認知度を向上させることもできます。
例えば、漬物の「きゅうりのキューちゃん」は、
50年以上、一度も名前を変えずに知名度を築いてきた、
ロングセラーブランドです。
その長年の使用で蓄積したブランド力を使って、
ふりかけの「ニチフリ」や、コーンスナックの「フリトレー」などとコラボ商品を販売しています。
コラボは相手方から依頼を受けることが多いそうで、
流石のブランド力を発揮しています。
そしてコラボしたことで、マスコミの取材等が増え、
さらに知名度を高めています。
②商標権があることで、取引や営業が上手くいく
2つ目は「取引や営業が上手くいく」という点です。
まずは、
商標権を取得することで、販売に向けて社内の主力メンバーのモチベーションが向上した。(建設業)
という報告に見られるように、
販売のモチベーションが上がる点が挙げられます。
やはりモチベーションがあれば、営業にも力が入り、
結果的にうまくいくことが多いです。
次に、
自社のブランドで長く商品を販売し続けられるのは、ブランドの世界が商標権で守られているからである。(製造業)
とあるように、商標権があることで、模倣品が出ないよう牽制することができるし、
いざという時は権利行使して使用を辞めさせることができるので、
長く販売を続けられるのですね。
特に大手企業との取引に当たっては、
商標権を持っていることを求める企業もあるため、
商標権があると信頼を得やすいというメリットもあります。
例えば、プラスチック日用品雑貨の企画・製造・販売を行う、吉川国工業所は、
元々、定価販売の百貨店から、その8割程度で販売する小売店まで幅広く流通させていました。
しかしその結果、最終価格がバラバラになり、百貨店側からは苦情もあったそうです。
そこで、「like-it」という生活用品ブランドのシリーズを立ち上げ、
デザインにこだわって商標登録し、
安売り店に流さないことで販売ルートをコントロールし、
強いブランドに成長したそうです。
資金調達にも活用
それから、資金調達にも活用できることがあり、
商標権を担保に金融機関から融資を受けた事例もあります。
例えば、教育関連事業を行うキョーイクホールディングスは、
自社が展開する医療系専門予備校「メディカルラボ」の商標権を取得しました。
そして、「メディカルラボ」のブランドを活用した事業の実態と将来性などについて
分析した評価書を作成した結果、
銀行からの融資が円滑に実行されました。
また、少し異なる事例ですが、
ペッパーフードサービスの「いきなりステーキ」の商標権は、
譲渡担保の目的物として、債権者のエスフーズに移転されました。
この場合、債務の弁済がされたらペッパーフードサービスに返還(買戻し)、
弁済されなかったら債権者エスフーズの商標権になるのですね。
以上、商標権を取得することで、
ライセンスの根拠となったり、取引や営業がうまくいったりして、
売上・利益を向上させる利点があるので、
ぜひ今すぐにでも検討されてみてください。
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