商標登録で失敗しないために!指定商品・役務の類似の考え方と注意点

商標登録で失敗しないために!指定商品・役務の類似の考え方と注意点

商標登録でよくある落とし穴とは?

「商標を出願したのに、類似を理由に拒絶されてしまった…。」
「指定商品・役務の設定を間違えて、せっかくの商標権が活用できなかった…。」

このような商標登録のトラブルは珍しくありません。その原因の一つが、「指定商品・役務の類似」の理解不足です。

商標登録を成功させるには、ただ商標の名前やデザインを決めるだけでは不十分です。どの商品・サービスに対して商標を適用するのかを正しく設定しなければ、登録できなかったり、思わぬトラブルを招いたりすることも。

そこで本記事では、「指定商品・役務の類似とは何か」を分かりやすく解説し、商標登録で失敗しないための具体的な対策を紹介します。

まずは、「指定商品・役務の類似」とは何なのか、基本から押さえていきましょう。


指定商品・役務の類似とは?基本を押さえよう

商標登録では、商標そのものだけでなく、どの商品・サービス(役務)に使用するかを明確に指定する必要があります。

「指定商品・役務」とは?

指定商品・役務」とは、商標を適用する範囲を決めるものです。
例えば、「SORAIRO」という商標が、指定商品「ココア」(第30類)について登録されている場合でも、以下のように分類が異なれば、登録できることがあります。

商標指定商品・役務登録の可否
SORAIRO洋服(第25類)登録可能
SORAIRO清涼飲料(第32類)登録可能
SORAIROコーヒー(第30類)既存商標と類似で拒絶の可能性

このように、同じ名前の商標でも、指定商品・役務が異なれば登録できることもあるのです。

しかし、似た商品・役務であれば、「類似している」と判断され、登録が拒絶されることも。では、商標審査ではどのように類似を判断するのでしょうか?


商標審査における「類似」の判断基準

商標審査では、「類似群コード」を基準に、指定商品・役務の類似性を判断します。

類似群コードとは?

類似群コードとは、特許庁が定める分類コードで、同じコードに属する商品・役務は類似とみなされる可能性が高くなります。

例えば、指定商品「ビール(第32類)」を指定したケースを考えてみましょう。
ビールの類似群コードは「28A02」です。

商品・役務類似群コード類似の判断
ワイン(第33類)28A02類似
アルコール分を含まないビール風味の清涼飲料(第32類)29C01非類似
居酒屋における飲食物の提供サービス(第43類)42B01非類似

「ビール」と「ワイン」は、分類は異なりますが、同じ類似群コードなので、商標審査では「類似する」と判断されやすくなります。
しかし、「ビール」と「アルコール分を含まないビール風味の清涼飲料」や「居酒屋における飲食物の提供サービス」は異なる類似群コードなので、たとえ分類が同じであったり、ビールが提供されるサービスであっても類似とは判断されません

こうした類似群コードの仕組みを理解しないまま出願すると、商標出願の拒絶につながったり、本来必要な部分を他社に取られたりするリスクがあるのです。

次に、この類似が原因で起こる商標トラブルについて詳しく見ていきましょう。


指定商品・役務の類似が原因で起こる商標トラブル

1. 商標出願の拒絶

hoyano
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実際の事件:
A社が「幸せのビール」という商標を「ビール(第32類、28A02)」について出願したところ、B社が「しあわせ」という商標を「麦および麦芽を使用しないビール風味のアルコール飲料(第33類、28A02)」について商標登録していたため、両商標は類似すると判断され、審査で拒絶されてしまいました(商願2023-11507)。

出願前に類似群コードを確認していれば、別の商標名を検討する余地があったかもしれません。

2. 既存の商標権者から警告を受ける

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実際の事件:
A社が「MONCHOUCHOU\モンシュシュ」として「飲食物の提供(第43類、42B01)」の分野で商標登録しましたが、実際には「洋菓子(第30類、30A01)」等の小売販売行為を行なっていました。一方、B社は「MONCHOUCHOU\モンシュシュ」の商標を「菓子(第30類、30A01)」の分野で登録していました。そのため、A社の小売販売行為がB社の登録商標に類似するとして商標権侵害が認められたケースがあります(平成23年(ネ)2238号、平成24年(ネ)第293号)。

商標登録できたとしても、使用行為が自社の商標権でカバーできておらず他社の登録商標に類似する場合は、商標権侵害リスクが発生する可能性があります。

3. 登録できても権利が弱い

hoyano
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実際の事件:
いちごの「あまおう\甘王」について、JAが「果実(第31類、32E01)」等を指定して商標登録しましたが、指定商品を狭くしすぎてしまい、「菓子及びパン(第30類、30A01)」については他社に商標登録されてしまいました。

広めの範囲で指定商品・役務を指定していれば、ブランドをしっかり保護できた可能性があります。

こうしたトラブルを避けるためには、どんな対策を取ればよいのでしょうか?


商標登録で失敗しないための対策

1. 出願前に類似群コードをチェックする

  • 特許庁のデータベースで類似群コードを確認する
  • 類似する商標がないか事前に調査する

2. 広めの範囲で指定商品・役務を設定する

  • 将来的に展開する可能性のある分野も考慮して登録する

3. 商標専門弁理士に相談する

  • プロの視点で類似リスクを回避できる
  • 戦略的な商標登録が可能になる

では、弁理士に相談するとどのようなメリットがあるのでしょうか?


商標専門弁理士に相談するメリット

  • 商標の類似リスクを事前に回避できる
  • ビジネスの将来性を考慮した戦略的な登録ができる
  • 商標登録の手続きがスムーズに進む

初めて商標登録をする方は、まず弁理士に相談し、リスクを減らすことが大切です。


まとめ – 商標登録を成功させるために

  • 指定商品・役務の類似を理解し、適切な範囲で指定することが重要
  • 事前調査をしっかり行い、リスクを回避する
  • 弁理士に相談することで、商標登録の成功率がアップする

商標登録をスムーズに進めたい方は、ぜひ専門家のサポートを活用しましょう!