商標権の有効期間

商標権の有効期間

2021年6月29日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/60501f551f2dc011e1c8e647

※こちらの記事は、2021年3月16日に書かれた内容です。
ご了承ください。

★商標権の有効期間の計算方法

以前の記事で、商標の登録料の支払い方法は2種類あって、
10年分の一括納付と5年ごとの分割納付が選べると説明しました。

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つまり、有効期間(存続期間)10年分の権利ということになるのですが、
いつから数えて10年かというと、
登録日から10年
になります。

出願の日からではなく、
登録査定の日からでもなく、
登録の日から10年なんですね。

したがって、
例えば今日、2021年(令和3年)3月16日に商標登録されたとすると、
2031年(令和13年)3月16日まで有効、ということになります。

★商標権は「更新」によって半永久的に維持できる

ただ有効期間は登録から10年間なのですが、
商標の場合、権利の「更新」ができます。

更新手続の際に、更新手数料を払うと、
さらに10年間、権利が存続することになります。

更新の回数に制限はないので、
10年ごとに何回も、何十回も更新することはできます。

実際、100年以上前に日本で登録された商標で、
今現在も有効に存続している件は、
今日、2021年3月16日現在で、
987件もあります。
実は、私のクライアントの件もこの中に含まれているのですが、
10年ごとの更新手続を10回以上経験してきたと思うと、
なかなか感慨深いですね。

★「特許権」や「意匠権」と異なる理由

この「更新」がある点が、
他の知的財産権である「特許権」や「意匠権」と最も異なるところです。
特許権の有効期間は、「出願日から20年」ですし、
意匠権の有効期間は、昨年4月に法改正しましたが、
現在は「出願日から25年」です。

しかし、特許や意匠には、商標のような更新の制度がありません。
これはなぜか?
疑問に思いませんか?

特許や意匠は、
まだ世の中にない、新しい技術やデザインを保護するための制度なので、
さすがに20年も25年も経てば、
「新しさはないよね」ということで、保護する価値がなくなり、権利が消滅することになっているのです。
権利が消滅したら、一般にオープンになるので、
基本的には誰もがその技術やデザインを使えるということになります。

一方、商標は、
特許や意匠のような、新しさに価値を認める制度ではありません。
むしろ、同じ商標を長年使用し続けることで信用が蓄積されるという性質に価値を認める制度なんですね。
したがって、同じ商標を使用している限りは、
長期間に渡って権利を認め続けることが大切ということです。
だから「更新」により何十年も何百年も権利を維持することができるんですね。

以上、商標の存続期間は10年だけど、
10年ごとの「更新」によって、
半永久的に権利を維持できることを覚えていただければと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。