商標登録されていない場合に ®︎ マークを付けない方がいい理由

商標登録されていない場合に ®︎ マークを付けない方がいい理由

2021年6月15日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/602b45a4ea0275131a664821

商品やサービス名で、他社のものと同じ名前や似た名前があると、
見てる人・聞いてる人からすると、
どちらのことを言っているのかわからなくなってしまいます。

それだと何かと不便ですし、
ビジネスにおいて、不利益になることも多いですよね。
そこで、他のものと違う名前をつけて、
商標出願をして特許庁に登録してもらうことで、
類似の名前の商品・サービスが出てこないようにしているのです。

そして、登録された商標については、” ®︎ “マークをつけることがあるのですが、
時々、登録されていなかったり、すでに権利が消滅したにもかかわらず、
” ®︎ “マークがついていることもあります。

そこで今回は、現在商標登録されていない場合に、
” ®︎ “マークを付けることをしない方がいい理由についてお話します。

★アールマーク” ®︎ “とは?

このアールマーク” ®︎ “というのは、
https://wp.me/p9cvKw-sL
[cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1783″] でもご説明しましたが、
Registered trademarkの略で、
登録された商標につけることができます。
https://stand.fm/episodes/601228bf83a4827483532fd3

日本では、” ®︎ “をつけること自体は、義務ではありませんが、
なるべく「登録商標ですよという表示をするように努める」
努力義務があるんですね。
なので、商標登録されたお客様には、いつも
「” ®︎ “をつけてくださいね」と案内しています。

★登録されていないのに” ®︎ “マークをつけると

裏を返せば、登録されていない商標は、
Registeredではないので、
” ®︎ “をつけることができません。

では、登録されてない商標に” ®︎ “マークをつけた場合、
どうなるかというと、
法律上は「虚偽表示」に当たります。

登録されてないのに、あるいは権利が消滅したのに、
” ®︎ “マークがついていると、
「あれ?これは商標登録されているのかな?」
「使うのをやめないと、怒られちゃうな」
と混乱してしまいますよね。

なので、むやみに” ®︎ “マークをつけたり、紛らわしい表示したりすることは、
法律上禁止されているのです。

ちなみに、この虚偽表示は刑事罰の対象にもなっています。
” ®︎ “マークをつけただけで、刑事罰になるとは思いませんし、
実際に刑事罰が適用されたこともまだないですが、
一応、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されるとされているので、
この点は覚えておいていただければと思います。

★代わりに” ™ “マークを

” ®︎ “マークが使えないとしても、代わりに” ™ “マークを使うことはできます
こちらは、TradeMarkの略で、
登録されていない商標にもつけることができます。

自分のお客様にも、出願した後〜登録される前までは、
「” ™ “がつけられますよ」と案内しています。
” ™ “をつけることで、見る人が見れば、
「これは商標として使われているんだな」
「もしかしたら出願中で、いずれ商標登録されるかもしれない」
と思ってもらえます。
それにより、
「この商標と似てる商標を使わないようにしよう」
と思ってもらえるかもしれません。

とはいえ、むやみな” ™ “マークも、個人的にはあまり推奨はしません。
というのも、一応” ™ “マークは” ®︎ “マークと同様に米国で生まれたマークなのですが、
自分が商標を使う権利(コモンロー上の権利)を主張するために用いられるものなのですね。
つまり、他者を牽制する効果もあるので、
本当に商標として、ビジネスとして使っていくんだという思いがある場合にこそ、
つけていただくのが適切なのではないかと思うからです。
したがって、商標として使う意思がない場合にまで” ™ “マークをつけることは、
あまり意義を感じないと考えています。
これはもちろん、自分の意見、考えですので、
参考にされなくても構いません。

★外国での取扱い

今、米国という話が出ましたが、
” ®︎ “マークを生み出した米国では、”Registration Symbol(連邦登録記号)”と読ばれており、
その取扱も日本とはやや異なっています。
米国では、” ®︎ “マークがついている商標は、米国特許商標庁(USPTO)で登録されたことを意味しており、
表示義務はないものの、
これがついてないと、損害賠償請求の際には事前の警告が必要になります。
つまり、” ®︎ “マークは水戸黄門の印籠みたいなもので、
これを見たらひれ伏す…というか、これ自体が警告書みたいな役割を果たしています。

なお、外国の中には、登録していない商標に” ®︎ “マークをつけると、処罰されるところもあります。
例えばオーストラリアやメキシコでは、この場合罰金刑に処されることがあります。

このように、” ®︎ “マーク一つとっても、
国によって取扱は異なっており、
中には重い責任を伴うことがあるので、
使い所に気を配るようにしていただければと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。