書籍のタイトルは商標で保護できる?

書籍のタイトルは商標で保護できる?

2019年1月21日

「サムライツ®」代表の保屋野です。

自分で考えた言葉を、将来出版する書籍のタイトルに入れたいということはあるかと思います。
では、そのタイトルを真似されたくないからといって、
商標権で保護することはできるのでしょうか?

結論から申しますと、書籍のタイトルは商標で保護することはできません
なぜかと言いますと、書籍のタイトルへの使用は、商標の使用にならないからなのです。
したがって、商標登録をしたからといって、他者によるタイトルへの使用を止めることができません
ただ、本の装丁もそっくりだとか、よっぽど悪質な場合は、不正競争防止法や、民法の不法行為で訴える余地は考えられます。

商標というのは、自分と他者の商品やサービスを見分けるためのものです。
この点、書籍のタイトルは、”内容を表すもの(=説明的なもの)“であり、
“他者の商品・サービスと見分けるためのもの(=商標)”ではないからです。

実際にあった事例で、一時ブームになった「朝バナナ」という言葉を、
出版社が16類の指定商品「書籍」を指定して登録を受けたのですが、
別の出版社から出た「朝バナナ」の言葉をタイトルに含む書籍を、差止めることができませんでした。
東京地裁平成 21(ワ)657・平成21年11月12日(民47部)判決〈棄却〉

ただ、雑誌や定期的な出版物のように、反復継続して使用されるタイトルであれば、商標となりますので、この場合は、16類の「雑誌」や「定期刊行物」等を指定されることをおすすめいたします。
あとは、定期的にニュースレターや小冊子を発行するとかの場合も16類の「ニュースレター」や「小冊子」等を指定します。これにより、他者による「ニュースレター」や「小冊子」等への商標の使用を差止めることができます。

もちろん、他者を牽制する意味で、指定に含める場合もあります。
中途半端に商標の知識のある人や、揉め事を避けたい人は、
「書籍の分野で商標登録されている」のを見れば、
使うのをやめようかな」「別の商標を出願しようかな」と考えることがあります。

このように、実際の法律の効果と、人の心理効果を、
両方考えた上で出願するのも、1つの戦略だといえますね。