経営者こそバイトすべき!?

経営者こそバイトすべき!?

※2023年2月7日配信メルマガVol.214より抜粋(一部加筆修正あり)

半年でミシュランの一ツ星を獲得した実力派シェフ

東京の目黒に「Restaurant L’asse(レストランラッセ)」(以下「ラッセ」)
というイタリアンレストランがありました。

過去形なのは、昨年8月31日に閉店したからです。
と言っても、業績不振ということではなく、
もっと利益率が高く、質も高い無人レストランをやるために
閉めたそうです。

そのオーナーだった村山太一さんという方は、
世界最高峰のイタリアンレストラン「Dal Pescatore(ダル・ペスカトーレ)」で
日本人初の副料理長
を務め上げた後、
2011年にラッセをオープンし、
半年でミシュランの一ツ星を獲得したという実力者です。

ミシュランの一ツ星シェフがあえて「サイゼリヤ」でバイトした理由とは?!

そんな実力者の村山さんはとてもユニークな方で、
ミシュランの星付きシェフでありながら、
イタリアンファミリーレストランの「サイゼリヤ」で
なんとアルバイトをしていた
そうです。

なぜサイゼリヤでバイトをしていたのでしょうか?
それは、一ツ星を保ち続けるほどお店は繁盛していたのですが、
長時間労働が常態化し、人間関係が悪化して、
経営がギリギリであったことから、
生産性の高いビジネスモデルを学ぶために始めたのです。

街のレストランは、
ファミレスに比べると人時生産性(従業員1人の時間あたりの生産性)が低く

給与水準も低いと言われています。
三ツ星レストランの店長ですら、
サイゼリヤの店長より給料が低いというのだから、
ショックな話です。

サイゼリヤバイトでの気づきが経営改善に役立った

村山さんはバイトをする中で、
サイゼリヤは店の構造も原価も0.1円単位でコスト削減が図られていて、
その積み重ねが生産性の違いにつながっていることに気づきました。

サイゼリヤでのバイトで気づきを得た村山さんは、
生産性を高める仕組みづくりに着手し、

  • 人時生産性を約3.7倍
  • スタッフ1人辺りの年間売上を約2.2倍
  • 経常利益率を8%UP
  • 労働時間を約4割減
  • 従業員数を9人から4人

にすることができたのです。

自分たちに足りないものを特定し、徹底的に取りに行く

普通は、同じミシュラン星付きのイタリアンレストランから
学ぼうとするはずです(それすらしない店もあるでしょう)。
しかし、村山さんは、
ファミレスの生産性が自分の店に足りない経営における要だと気づき、
単に学びに行くにとどまらず、
労働者として中に入り込んでしまったところがすごいですよね。
変な先入観やプライドを持たずに、
学びを得たい環境に飛び込み、
徹底的にコピーできるぐらいまで学び尽くす
姿勢は、
マヨネーズ理論」として著書にまとめられています。
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以前の記事で、
インフレ下でもサイゼリヤが価格を維持することを
否定的に書いてしまいましたが、
効率化を追求し、生産性を高める企業努力
流石に素晴らしいですね。

※その時の記事↓

値上げしない代わりに「質を下げ」てはいけない
※2023年1月17日配信メルマガVol.211より抜粋(一部加筆修正あり) 相次ぐコスト高からの値上げ コロナ禍でダメージを負った飲食業が、現在はコスト高によ…
samuraitz.com

経営者には貪欲な姿勢が必要

そして、そんなサイゼリヤに、
ミシュランの星付きシェフが頭を下げてバイトしに行く「貪欲な姿勢」こそ、
経営者にとって必要
なものではないかと思いました。

ちなみに、コロナ初期の2020年3~5月、
飲食店は営業自粛や時短営業で大打撃を受けましたが、
そんな中でもラッセは黒字を出したそうです。

と聞くと、営業自粛もせずにイケイケどんどんでやっていたのでは?
と思うかもしれません。
しかし実際は全くの真逆で、
ダイヤモンドプリンセス号が話題になるよりも前に、
日本最速でコロナ対策をしつつ、
その後の行政のルールに従いながら利益を出していきました。
しかも、補助金などは一切もらわずにです。

こうした村山さんの危機管理の徹底ぶりも、
「危機感」と「気づき」と「即行動」を掛け合わせた
サバンナ思考」と呼んで紹介されていました。

モデリングの仕方など、
飲食業でなくても参考になることが多いので、
ぜひ読まれてみてください。
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