「トクホよりコスパ◎? 機能性表示食品で売上が跳ねる“信用投資”の方程式」

「トクホよりコスパ◎? 機能性表示食品で売上が跳ねる“信用投資”の方程式」

※2024年2月20日配信メルマガVol.268より抜粋(一部加筆修正あり)

「ヤクルト1000」は本当に効果がある?

最近でこそスーパーなどで見かける機会が増えましたが、
一時期すごい人気で売り切れが続出し、
なかなか手に入らないためにネットで高値で売買されていた
ヤクルト1000」という商品があります。

「ヤクルト1000」は、
1mlあたり10億個もの乳酸菌シロタ株を含む乳酸菌飲料で、
一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和
睡眠の質向上」の機能がある(と報告されている)点が特徴です。

ところが、実際の試験結果データを見ると、
「ストレス緩和」機能については、
重要な学術試験を控えた医学部生の男女140名を対象に
試験の8週間前から飲用してもらった結果、
ストレスホルモンのコルチゾール濃度の上昇が
わずかに抑制された程度
のものでした。
https://www.yakult.co.jp/yakult1000/

また、「睡眠の質向上」機能についても、
上記と同じ状況の医学部生の男女94名を血性に、
試験8週間前から試験3週間後まで飲用してもらった結果、
熟眠時間、熟眠度、起床後の眠気のスコアが
わずかに改善された程度
です。
https://www.yakult.co.jp/yakult1000/

薬剤ではない以上、そこまで劇的な効果が認められるわけではない点は
重々承知ではあるものの、
ここまで多くの消費者に支持されるというのは、
なかなか面白いなと思いました。

「機能性表示食品」はコスパがいい?

「ヤクルト1000」がこれだけ効果を期待されて売れているのは、
機能性表示食品」であることが大きいと思います。

「機能性表示食品」とは、消費者庁が監督している

事業者の責任において、科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができる制度

をいいます。

サプリなどを含め、一般的な食品について機能性をうたう表示をすることはできません

しかし、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」については、
いわゆる「保健機能食品」に分類され、
例えば「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」などの
機能性の表示を行うことができるのです。
機能性の表示ができると、広告などで優位に働くことでしょう。

そして、国の審査が必要で、許認可まで1~2年ほどかかり、
費用も数億円かかる「特定保健用食品(トクホ)」に比べると、
事業者の責任で科学的根拠を提出し、
約6~11ヶ月の期間と200~500万円前後の費用で足りる「機能性表示食品」は、
言い方は悪いですが、割とコスパがいい選択肢とも言えます。

消費者はトクホか機能性表示食品かを気にしない?!

実際には、国のお墨付きの「特定保健用食品(トクホ)」の方が、
国が効果を認めているわけではない「機能性表示食品」よりも、
機能が確かで信頼性が高いのは間違いありません。

しかし、消費者の中には、「特定保健用食品(トクホ)」か「機能性表示食品」かは、
さして重要でもないし関心もないという人も多いのではないでしょうか。
「なんか良さそう」と思える機能の表示があれば、
信用してしまい、手に取りたくなる
ものです。

それよりも消費者は価格の方を重視します。
「特定保健用食品(トクホ)」より
一般的に価格の安い「機能性表示食品」の方が選ばれやすくなります。

※下記のリンクのような調査結果もあります↓
https://u-site.jp/survey/functional-food-vs-tokuho

「良いもの」ではなく「良さそうに見えるもの」が売れる

マーケティングの世界では
「良いもの」ではなく「良さそうに見えるもの」が売れるので、
「機能性表示食品」で目的を達することができるのであれば、
わざわざ「特定保健用食品(トクホ)」を目指さなくてもいいと見ることもできるかもしれません。
もちろん、本当に機能の確かなものを消費者に届けようとするなら、
「特定保健用食品(トクホ)」を取得した方がいい
ことは間違い無いでしょう。

ただし、「機能性表示食品」が認められた後でも、
科学的根拠に疑義があるとされると、
景品表示法に基づく措置命令などもあるので、その点は注意が必要です。

※サムネ画像は「ヤクルト本社」公式HPより引用

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