※2021年11月16日配信メルマガVol.150より抜粋(一部加筆修正あり)
意匠権で売上や利益を守る
中小企業や個人事業で、意匠登録について意識している人や企業は少ないので、
知っておくとかなり競合優位になります。
前回に引き続き、今回も意匠制度(デザインの権利)の活用方法を紹介した冊子を参照しながら、
意匠権取得の利点について解説していきます。
前回の記事はこちら↓
※以下、引用符(””)部分は「事例から学ぶ 意匠制度活用ガイド」より引用
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/info/2907_jirei_katsuyou.html
今回は「ビジネスの守り編」について。
意匠権を取得することで、ビジネスを守る結果につながることがあります。
①他者への牽制
意匠登録されると、その事実が公報に掲載されて周知されるため、
その情報を見た競合会社や模倣品・類似品メーカーは、
「このデザインを使うのをやめよう」
と考えます。
これによって、他者を牽制する効果が働き、
意匠権侵害行為を未然に防ぐことができます。
例えば、美観と機能性と利便性を備えたスマホケース等、
革製品を製造販売する「Vintage Revival Productions」は、
模倣品業者への警告などの迅速な対応だけでなく、
自社ウェブサイトへの意匠登録番号の掲載なども併せて行う事で、
模倣品・類似品予備軍となる他者を牽制しています。
その他にも、「関連意匠」や「部分意匠」といった意匠特有の制度をうまく活用して、
関連意匠を活用したことで網羅的なデザインの保護ができ、その結果他社の追随を抑える等、一定の効果を得ることができた。
商品の一部を部分意匠として1件登録しているだけで、模倣をほぼ回避できている。
といった事例報告もあります。
②模倣品・類似品の排除
次に、模倣品・類似品メーカーなどに対しては、
意匠権に基づく警告をすることができます。
また、税関では意匠権侵害物品の輸入差止めができますし、
裁判においても紛争処理に用いることができます。
これらにより模倣品・類似品を排除することができるので、
結果的にビジネスを守ることにつながるのですね。
例えば、さまざまな生活用品の企画や製造販売、デザインなどを行う
アッシュコンセプト株式会社は、
中国など海外で製造された模倣品が国内に流入しないよう、
意匠権に基づく税関への輸入差し止め申し立てを行っています。
これにより、税関にとっても真正品と模倣品・類似品の違いを見分けるポイントがわかりますし、
同社が模倣品対策に熱心な会社であることが知れ渡る事で、
他者への牽制効果も働きます。
また同社は、模倣品が現れた際に、メーカーだけでなく小売店にも働きかけている点が重要です。
小売店としても、模倣品等を扱っていることを認識して、
それらの取り扱いをやめるきっかけになるからです。
他にも、
模倣品を製造・販売したメーカーに警告し、デザインを変更させた。
模倣品の販売会社に対し警告を行った結果、販売中止や、デザイン使用料を得ることができた。
ネット上で販売された模倣品に対し、意匠権を取得していたおかげで販売停止、損害賠償させることができた。
といった声が上がっています。
③外国での審査・紛争時の優位性獲得
さらに、日本で意匠権を取得した事実が、
外国での意匠権に関する審査や紛争において、
有利に働くことがあります。
例えば、手芸用品を総合的に取り扱い、
国内外で広く知られているクロバー株式会社は、
裁縫用の「仮止めクリップ」が、日米で大ヒットしました。
その結果、国内では発売から3年後に、
米国では1年後に模倣品が発見されたそうです。
そこで、予め取得しておいた意匠権に基づいて、
模倣品メーカーに警告書送付。
その結果、訴訟にまで至ることなく、大量の模倣品を排除することができました。
また、あまり知られていないですが、
無審査国での意匠侵害訴訟時に、意匠の有効性を裁判所に示すため、日本のでの審査結果と審査時の参考文献を証拠として提出。被告から無効審判を提起されることなく、短期間で勝訴判決が得られた。
とあるように、日本で審査を経て意匠権取得できたことで、
外国での紛争解決にも役立つことがあるんですね。
以上より、意匠権を取得することで、
模倣品・類似品を市場から追い出すことができるので、
ビジネスを守り、売上や利益の改善に貢献する効果があると言えます。
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