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目次
★人の顔の画像の広告効果
人の顔の画像には、見る人の反応を高める効果があって、
特に笑顔だったり、赤ちゃんや若い女性の顔は、
広告効果を高めることがわかっていますが、
人の顔や姿の写真画像には、
著作権とはまた別の権利があるのをご存知でしょうか?
主に2つに分けることができます。
★肖像権とパブリシティ権
①肖像権
まず1つ目は、
「肖像権」という権利です。
1度は何かしらのニュース等で耳にされたことがあるかと思います。
「肖像」というのは、「人の姿や顔を写した写真だとか絵だとか彫刻」のことを言います。
「肖像権」は、誰もがその姿を、本人の承諾なしで、
むやみやたらに撮影されない、
撮影した画像を公開したり利用されたりしないよう、
主張できるという考え方です。
写真等を”撮られる側の権利“で、
「著作権」のような”撮る側の権利”ではありません。
例えば、何かプライベートなイベントに参加した際に、
誰かが撮った写真に自分の顔や姿がばっちり写っていて、
その写真が無断でSNSにアップされていた、
みたいなことはよくあるのではないでしょうか。
こういう時に、その写真を載せないでくださいとか、
画像処理して自分とわからないようにしてくださいと、
言うことができる権利ですね。
勝手に撮られたり、勝手に公開されたりすると、
とても嫌な気持ちがしますし、
場所を特定されて危険な目に遭う恐れもあるので、
撮影された人の人格を守るのが目的です。
②パブリシティ権
それから2つ目、著名人・有名人の顔については、
「パブリシティ権」という権利があります。
「パブリシティ権」は、経済的な価値のある著名人の顔や姿、氏名などを、
第三者に無断で使用されないよう、主張できるという考え方です。
例えば、有名な俳優さんが個人的に使っている商品をブログに載せていたとして、
その写真を、契約も交わしてないのに勝手にネット広告で使ったり、
「〇〇さんも絶賛!」のようなコピーを使ったりした時に、
それをやめてください、損害額を払ってくださいと、
言うことができる権利ですね。
著名人の顔や姿・氏名には、それだけで経済的価値、財産的価値があって、
その財産的価値を守るのが目的であるため、
「パブリシティ権」のことを「肖像財産権」と呼ぶこともあります。
★法律にない権利
実は、肖像権とパブリシティ権は、法律で定められた権利ではありません。
これまでの裁判例の積み重ねにより、認められるようになった権利です。
なので、どこからが権利侵害になるのか、どこまでがセーフなのかは、
曖昧な部分が多いです。
今後、判例を重ねることで、少しずつ権利の範囲が決まってくると考えられます。
★フリー素材では「モデルリリース」の有無をチェック
ちなみに、フリー素材に使われているモデルの写真にも、
当然肖像権が発生しています。
したがって、フリー素材の画像については、
その写真に写るモデルから肖像権の使用許諾
(これを「モデルリリース」と言います)
をもらっているものなのか、
もらっていないのか、が重要になります。
許諾をもらっているものには、
「モデルリリース取得済み」といった表記や、
モデル名の表記が記載されていることが多いです。
この点は、各フリー素材サイトの規約を確認されてみてください。
「モデルリリース取得済み」となっていないものは、
使用を避けるか、顔が写らないように画像をぼかしたりトリミングしたりして使う方が無難です。
特に、一般人がアップロードできるタイプのフリー素材サイトでは、
肖像権の問題が起こりやすいので、注意してください。
★「モデルリリース」取得済でもやってはいけないこと
また、「モデルリリース」を取得していたとしても、
その画像を、自分のSNSのアイコンにしたり、
自社HP内で「お客様の声」や「社員紹介」のように
事実と異なる形で紹介したりすることはできません。
これは「なりすまし」になるので、だいたいどこの規約でもNGになっていますし、
場合によっては名誉毀損で訴えられてしまう恐れもあるので、やめましょう。
★まとめ
以上、人の顔には、広告のエンゲージメントを高める効果があるものの、
著作権とは別に、肖像権とパブリシティ権という2つの権利が存在するので、
取り扱いには十分注意して、ビジネスに活用されてみてください。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。