「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。
私が洗濯をする際によく用いる液体洗剤は、
ライオンの「トップ」ブランドから出ている
「HYGIA(ハイジア)」です。
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同じ「トップ」ブランド下の「NANOX(ナノックス)」も、
洗浄力の点で優れていて好きなのですが、
なんといっても、洗うたびに衣類が菌に強くなるとうたっている、
“プレミアム抗菌機能”が、部屋干し臭嫌いの自分にとっては訴求するのですよね。
そんな「HYGIA(ハイジア)」と「NANOX(ナノックス)」は、
おそらく同じ形状の容器を用いていると思うのですが、
この容器が、デザインの権利である「意匠権」の塊であるのをご存じでしょうか?
まず、そのものずばりの容器の外観が意匠登録されています。
それから、線図で描かれたもの(蓋部分は除かれています)
これに類似するバリエーションの”関連意匠”
(意匠登録第1387035号)
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(意匠登録第1387037号)(意匠登録第1387038号)
注ぎ口のみの意匠登録
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(意匠登録第1382438号)(意匠登録第1418183号)
蓋のみの意匠登録
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(意匠登録第1454686号)(意匠登録第1454687号)
他にもまだありますが、きりがないのでこの辺で。。。
それにしても、なぜこれだけたくさんのバリエーションで、
しかも注ぎ口や蓋といった、
この部品だけ独立して販売する、ということが考えられないものまで、
登録しているのでしょうか?
それは、
・より効果的に模倣品を排除するため
・容器のデザインを通じたブランドコミュニケーションを維持するため
なのです。
一見、「HYGIA(ハイジア)」や「NANOX(ナノックス)」といった、
文字の商標が保護されていれば、模倣品の問題は考えにくいようにも思えます。
しかし、この容器と同じ又は似た容器に入った洗剤が、別の商標を付して登場したらどうでしょう?
消費者は、「トップ」のシリーズものか何かと勘違いしてしまう可能性があります。
すると、商品販売の機会を不当に失ってしまうおそれがありますよね。
そして、容器の形状にも愛着を持っていた消費者とのつながりを、絶ってしまうことにもなりかねません。
それに、この斬新な容器のデザインを考案したのが社員だとしたら、
模倣を許すことが、創作意欲の減退にもつながるかもしれないのです。
また、容器全体の意匠登録だけでは、
注ぎ口や蓋の形状だけを巧妙に模倣するようなケースに対応できないことがあります。
そんなこともあって、さまざまなバリエーションで意匠登録しているのですね。
意匠権は、いざというときに結構頼りになる権利ですので、
効果的な権利取得を考えてみるのがよいのではないかと思います。
