※2021年11月9日配信メルマガVol.149より抜粋(一部加筆修正あり)
中小企業は「意匠権の活用」で差がつく
特許庁より、意匠制度(デザインの権利)の活用方法を紹介した冊子の最新版が発行されました。
中小企業や個人事業で、意匠登録について意識している人や企業は少ないんですよね。
裏を返せば、知っておくとかなり競合優位になると思います。
そこで、この冊子を参照しながら、
意匠権取得の利点について解説していきます。
※以下、引用符(””)部分は「事例から学ぶ 意匠制度活用ガイド」より引用
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/info/2907_jirei_katsuyou.html
今回は「ビジネスの発展編」について。
意匠権を取得することで、ビジネスの発展につながることがあります。
①信頼性の向上
まず、意匠権を取得することが、
顧客や取引先企業に対する
「信頼性の向上」につながる場合があります。
意匠権は独占排他的な権利ですので、
登録意匠やそれに類似する意匠を、
他者が無断で使うことは認められません。
したがって、
意匠権を取得したデザインは、
それだけで唯一無二のオリジナリティがある証明になりますし、
世の中にない新しいデザインを創造する力があることのアピールにもなります。
意匠権の範囲内で使用する限りは、
他者の権利を侵害していないことの証明にもなるので、
顧客や取引先にとっても、安心して取引ができるのではないでしょうか。
これが「信頼性の向上」につながります。
例えば、内部にフラワーベースが内蔵され、
片側からは一輪差しに見えるキッチンペーパーのディスペンサー
を展開する八幡化成株式会社は、
意匠権を取得することで、
取引先が安心して販売できる製品であることをセールスポイントにしているそうです。
また、他の企業のアンケート結果でも、
客先へのデザインのプレゼンテーションに対し、信頼性、独自性をアピールできた。
との回答が見られます。
このように、意匠権の取得は、
「信頼性の向上」に繋がり、
結果として売上に良い影響をもたらす効果があります。
②ビジネス機会の拡大
また、協力企業や投資家、金融機関にとっては、
意匠権を取得することが、
「ビジネス機会の拡大」につながる場合があります。
意匠権を取得すると、
自社だけでデザインを使うこともできますが、
他者に権利をライセンスすることもできます。
せっかく意匠権を取得したけれど、
自社ではそのデザインを活用する予定がないとか、
自社の都合でそのデザインに係る製品を取りやめてしまったとか、
そういった場合に、他者にそのデザインを使ってもらうことができるんですね。
あるいは、戦略的に広めに権利をとっておいて、
他者がそのデザインを採用したい場合に、
使用を許可することもあります。
はたまた、自社の権利が他者に侵害された際に、
交渉の材料としてライセンスの提案を用いることができます。
これによって、ライセンス収入を得ることができるので、
「ビジネス機会の拡大」につながります。
例えば、知育玩具「nocilis」を展開するアイ・シー・アイデザイン研究所は、
クライアント企業から「nocilis」を自社製品やノベルティとして使いたいとの要望が増えてきたそうです。
そこで、意匠権の実施許諾契約を交わして、
ライセンス料を得ているとのこと。
他の企業のアンケート結果でも、
実施しなくなった意匠を他社にライセンスする際のより所となり、ライセンス収入が得られた。
模倣品を製造・販売していた競合他社に警告後、交渉によりライセンスし、実施料を得た。
との回答が見られます。
資金調達にも有利に働く
また、意匠権を取得したことが好材料となり、
投資家や金融機関から評価されて資金調達に有利に働くこともあります。
例えば、パーソナルモビリティを展開するWHILL株式会社は、
ベンチャーキャピタルなどから出資を受ける際に、
取得してきた意匠権が評価に大きく寄与したこともあったそうです。
こちらも「ビジネス機会の拡大」の観点から、
見過ごせない効果ですね。
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