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今回は前回の投稿を受けて、ご質問をいただきましたので、お答えいたします。
ご質問ありがとうございます!
今ってネットで本が買えたり、電子書籍が普及したりしている関係で、
書店の数がどんどん減少していますよね。
特に100坪以下の書店の閉店率が高いそうで、
いろんなプロモーション、販促活動の一環として、
本の読み聞かせ会を開催したい気持ちもよくわかります。
しかし、結論から申し上げますと、
条文上は「著作権者に無許可ではできない」と考えられます。
前提として、
①オンライン(ネット上)での朗読配信と、
②オフライン(リアル)の場での朗読は、
実は著作権の中で関わってくる権利が異なっております。
①ネット上での朗読配信は著作権の公衆送信権(第23条)、
②リアルの場での朗読は著作権の口述権(第24条)という権利が関わってくるんですね。
オンラインとオフラインは扱いが違うということを、
まずは押さえてください。
だからこそ、前回の投稿では「朗読配信」と強調していたんですね。
その上で、
②リアルの場での朗読は、
「営利目的でなく」「お客さんからお金をもらわない」「報酬も支払われない」のであれば、
著作権者に無許可であっても朗読できます(第38条)。
逆に、①ネット上での朗読配信は、「営利目的でなく」なおかつ「お客さんからお金をもらわない」「報酬も支払われない」場合であっても、
著作権者に無許可では朗読配信することができません。
そして本件の場合は、「書店の店主が就学未満の子供とママを集め、書店の片隅で絵本読み聞かせ会を開催する」
ということなので、②のリアルの場での朗読に該当します。
また「無料の絵本読み聞かせ会」ということなので、
「お客さんからお金をもらわない」という条件もクリアしています。
「お、じゃあ絵本の読み聞かせ会を開催してもいいのでは?」
と思うかもしれませんが
「書店主は最終的に絵本を買ってもらうのが狙い」と言ってますよね。
そうすると、これは「営利目的」ということになるので、
残念ながら「営利目的でない」という条件に当てはまらないと考えられます。
つまり、この場合、著作権者に無許可では
絵本の読み聞かせ会を開催することはできないと考えられるんです。
「いや、本の売り上げになったら、出版社や著者の利益にもなるんだから、販促の一環としてやってもいいじゃん」
「何も強制的に買わせるわけじゃないのに」
と思うかもしれませんが、
一応法律上はNGとなっております。
だって、本の内容知ったら買わないって人もいるかもしれないですよね。
なので、著作権のある本については、
著作権者の許可がない限り、
営利目的での朗読会、読み聞かせ会実施はできません。
一方、その書店の店主が、
自分のお店と関係なく、例えば図書館とか公民館みたいなところで、
非営利目的で、自分のお店の宣伝もせず、
入場料をもらわず、謝礼ももらわないボランティアの形で
朗読会、読み聞かせ会をするのは大丈夫です。
それと、児童書の出版社のHPをみると、
著作物の利用許可申請のフォームが用意されていたりします。
あと、児童書の出版社が共通で使用している申請書もあります。
https://www.jbpa.or.jp/guideline/readto.html
概要欄にリンクを貼っておきますけど、
そういうのをちゃんと事前にチェックして、手続しておけば、
当然朗読会、読み聞かせ会をすることに問題はありません。
したがって、営利目的の場合、
お客さんから入場料・参加料をいただく場合、
報酬をいただく場合は、
事前に利用許可申請をしてみてはいかがでしょうか。
まとめますと、
オフライン(リアル)の場での朗読・読み聞かせは、
「営利目的でない」かつ「お客さんからお金をもらわない」かつ「報酬も支払われない」
場合は、著作権者の許可がなくてもすることができます。
それ以外の場合は、無許可で朗読することができませんので、
必ず事前に許可をもらうようにしてください。