本の読み聞かせや朗読をYouTubeで配信することは著作権侵害!?

本の読み聞かせや朗読をYouTubeで配信することは著作権侵害!?

最近YouTubeをはじめ(再開し)ましたので、
ぜひチャンネル登録をお願いします!
https://www.youtube.com/iphossy

よくいただくご質問なんですが、
YouTubeで、本の読み聞かせや朗読を配信することは、違法なのでしょうか?

結論から言うと、
他人が書いた文章を朗読して配信する場合、
著作権が発生している場合があるので、
気をつけないと違法、
つまり著作権侵害になってしまう恐れがあります。

そこで、今回はYouTubeの配信で
文章の読み聞かせや朗読ができる4つの場合と、
逆に著作権侵害になってできない場合についてお話いたします。

①著作権が消滅した作品の朗読

まず1つ目は、著作権が消滅している作品の朗読です。

現在の法律では、作者の死後70年で著作権は消滅します。
実は、2018年12月29日までは50年だったのですが、
翌30日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が発行されたため、
20年伸びてしまいました。

なので、2017年の時点で著作権消滅した作品か、
作者の死後70年経過した作品については、
著作権が消滅しているので、朗読配信することができます。

どの作品の著作権が切れているのかは、
作者を調べるしかないのですが、
「青空文庫」というサイトが、
著作権が消滅した作品を掲載しています。
なので、ぜひ「青空文庫」から選んでみてはいかがでしょうか。
https://www.aozora.gr.jp

②許可をもらった作品の朗読

2つ目は、著作権者から許可をもらった作品の朗読です。

これは、いうまでもないですね。
許可をもらっているなら、権利問題はクリアできているからです。

また、著作権者の方から、
あらかじめ「この文章はYouTube等で朗読配信していいですよ」と
許可を出している場合もあります。

ただいずれにしても、できれば許可がある旨を、
配信の概要欄に記載しておくといいと思います。

というのも、配信してる人がちゃんと権利の問題をクリアしてるのか、
視聴者とか権利の関係者が心配に思うかもしれませんし、
権利のことがわからない人は、
無許可で朗読配信していんだと勘違いしてしまう可能性があるからです。

なので、面倒だとは思いますが、
著作権者の許可があることを説明書きしておくといいでしょう。

③引用に当たる朗読

3つ目は引用に当たる場合です。

著作権法では「引用」に該当する場合に、
他人の著作物を許可なく利用することができます。

著作権法の「引用」に該当するかどうかは、
ちょっと説明が長くなるので、
詳細はまた別の機会に解説します。

簡単にどういう場合なら引用に該当するのか説明すると、

・すでに公表されている
・本の一部分だけを、
・引用部分とわかるように、
・アレンジせずそのまま朗読して、
・その部分についての自分なりの紹介、解説、批評などをメインに語る

ような場合ならOKということです。

引用に当たらない場合についても押さえておきましょう。

・未公表の文章はNGだし、
・本の全文読むのはNGだし、
本の一部分だけでも、
・引用部分とわかりにくいのもNGだし、
・引用部分を勝手に変更したりするのもNGだし、
・引用部分に対する自分オリジナルの解説部分が少ないとNG

ということになります。

④歌詞の朗読(YouTubeが利用許諾契約をしている楽曲)

4つ目は音楽の歌詞の朗読です。
ただし、YouTubeが利用許諾契約をしている楽曲に限ります。

YouTubeが利用許諾契約を締結している、
例えばJASRACとか、NexToneといった団体で
著作権管理している楽曲については、
基本的には申請をしなくても歌詞の朗読配信が可能です。

これはYouTube側が利用についての報告や、
使用料の支払いを行なっているため、
配信者は特に何もしなくて大丈夫という仕組みになっているんですね。

逆に、YouTubeと契約を交わしていない楽曲については、
著作権者から直接許可をもらう必要があります。

ただし、動画の内容が広告である場合は、
歌詞を使う際に、
その著作権を管理している団体への問合せや手続が必要になる可能性があります。
https://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html
https://www.nex-tone.co.jp/copyright/faq.html

また、個人以外の企業や団体が配信をする場合は、
扱いが変わる可能性があるので、
この場合は個別にJASRACやNexToneなどの著作権管理団体にお問合せください。

ちなみに、歌詞の朗読だけでなく、歌詞の掲載についても同様のことが言えます。

以上、
①著作権が消滅した作品の朗読
②許可をもらった作品の朗読
③引用に当たる朗読
④歌詞の朗読(YouTubeが利用許諾契約をしている楽曲)
については、
YouTubeで朗読の配信ができると考えていただければと思います。

一方、これら以外のケースは、残念ながら著作権侵害になってしまう可能性があります。
例えば、収益化してないから朗読の配信をしてもいいのではないか?と思うかもしれませんが、
収益化してるかどうかは、この場合は関係ありません。

ぜひ注意していただければと思います。