【ご質問】音声収益化する人は、歌の投稿を避けた方がいい?

【ご質問】音声収益化する人は、歌の投稿を避けた方がいい?

2021年10月15日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/6101568c50854f0006957d4c

★ご質問

2.音声で収益化を目指す場合、歌の投稿は避けた方がいいでしょうか?

こちらのサイトには、著作権の手続きが要らないのは営利を目的としない演奏、とあります。
https://secure.okbiz.okwave.jp/faq-jasrac/faq/show/830?site_domain=jp

SPP(※筆者注:stand.fm公式パートナーのこと)になられた方でも演奏されている方もいると思いますが、stand fmが許可しているのでOKとの理解でよろしいでしょうか?

私はしてませんが、youtubeで音源を使ったら概要欄に書けば問題ないとかも、周りのスタエフユーザーさんから聞いたことあり、色々な対応をされている方がいると思います。

★結論

結論としては、歌の投稿は、3つの権利に気をつければ避けなくても大丈夫です。
その3つの権利は、
著作権」と「著作隣接権」、「著作者人格権」になりますが、
これらについて詳しく説明していきます。

★著作権の注意点

まず著作権ですが、著作権が存在している楽曲を、
歌って音声配信する行為は、
原則として、著作権の中の「複製権」と「公衆送信権」の侵害になります。

複製権は、ここでは歌を歌うことで、
公衆送信権は、ネットにアップロードして配信することです。

ご質問者さんが「営利を目的としない場合」について紹介されているリンクは、
JASRACのサイトではあるのですが、
これはオフラインのケースのみに適用されます。
上映権」「上演権」「演奏権」といった種類の権利に当てはまる内容で、
先ほど挙げた「公衆送信権」には当てはまりません

つまり、ネットで配信することについては、
営利を目的としない場合でもアウトですので、
お気をつけください。

ただ、これには例外があります。
ご質問者さんもお気づきだと思いますが、
許可を得られた場合です。

具体的には、前回も話した通り、
JASRACとNexToneが管理している楽曲は、
スタエフの「楽曲申請」という機能を使えば大丈夫です。
それ以外の楽曲は、
個別に許可をもらってください。

SPPだから楽曲申請できないという規定は、
今のところ見当たらないので、問題ありません。
それから、
「SPPになられた方でも演奏されている方もいると思いますが、stand.fmが許可しているのでOKとの理解でよろしいでしょうか?」
ということですが、
厳密にいうと、スタエフは許可しているわけではないんですよね。

トラブルにならないように楽曲申請の機能を用意しているけど、
それ以外のケースはちゃんと許可をもらってきてる前提で運営している感じです。
最近は芸能事務所と提携を始めたので、
もし、明らかにNGなケースを見つけたら、ペナルティ出すかもしれないけど、
基本的にトラブルになったら当事者同士でやってくれと言うことです。
なので、他の人がやってるからOKということはありません。

ちなみに、YouTubeとは違って、
自分で申請をしないといけません。
「概要欄に書けば問題ない」
というのは誤りですので、
この点はご注意ください。

★著作隣接権の注意点

次に、著作隣接権ですが、
これも前回お話した通り、
他人が制作した音源を使う場合は、原盤権実演家の権利などがあるので、
その点に注意が必要です。

自分で演奏するか、アカペラで歌うか、
著作隣接権を管理するところから許可をもらって使わせてもらうか、
のどれかで対応してください。

ちなみに、前回の最後にご紹介した「カラオケ歌っちゃ王」というカラオケ音源を配信するサイトは、
規約をみた限り、個人的な目的で非営利の活動であれば、
配信の中で音源を使うことができます。
http://tomomusic.co.jp/utachaoh/aboutuse.html
手続きも必要ありません。

ただし、あくまでも個人で楽しむ用途に限られていて、
例えば法人名義で使うとか、
事業目的で個人事業主が使うというのは、
手続きが必要ですし、有料での利用となります。

あとこれは自分の解釈で恐縮ですが、
個人事業主だと絶対無料で使えないという意味ではなく、
配信することで収益を得ている場合という意味だと思います。
ただ心配でしたら、念のためにサイトに確認された方が良いかもしれません。

そして、SPPの場合はどうなるかですが、
配信が再生されると、その時間に応じた収益が発生するので、
個人事業主と同視できるのではないかと思います。

したがって、手続きにより許可をもらって、
有料で使用することになると思います。

それが心配だとか嫌だなという場合は、
「歌っちゃ王」のカラオケ音源は使わない方が
良いと思います。

というわけで、
SPPなど音声で収益化を目指す場合、
音源使用許可されているものでも、
手続きが必要だったり有料だったりするので、
特に注意が必要です。

無難にいくのであれば、
アカペラで歌うとか、
自分で演奏するとか、
友達に演奏してもらってそれを使わせてもらうとか、
がおすすめです。

★著作者人格権の注意点

最後に、著作者人格権ですが、
これは著作権と同時に、
楽曲を作った人に発生する権利です。

著作権は財産的な権利なので、他人に譲渡できるのに対し、
著作者人格権は人格的な権利なので、
作った人本人だけに帰属していて、
他人に譲渡することができません。

著作者人格権は、
公表権」「氏名表示権」「同一性保持権
3つの種類の権利があります。

まず公表権は、楽曲を制作した人が、
未公表の作品を公表するかどうかいつどんな方法で公表するか
などを決められる権利です。

これは、すでに発表されている作品なら問題ないので、
気にしなくて大丈夫です。

2つ目の氏名表示権は、
楽曲を公表するときに、どんな名義で公表するかを決定できる権利です。
本名の場合もあれば、ペンネームの場合もありますよね。

歌った楽曲を配信するときに、アーティスト名だけでなく、
作詞作曲編曲者名を概要欄とかに書いてあげると、より親切かなと思います。

まあ、雑誌に掲載するとかではないので、
そこまで義務があるとは思いませんけれども、
もし可能だったらということですね。

3つ目の同一性保持権は、
楽曲の内容やタイトルを、作者の意思に反して改変されない権利です。

したがって、オリジナルの曲の歌詞を変えて歌う「替え歌」は、
作詞者の同一性保持権侵害に該当する可能性があります。
また、オリジナルの曲の曲調を変えたり、アレンジしたりすると、
作曲者の同一性保持権侵害に該当する可能性があります。

もちろん、「作者の意思に反して」ということなので、
本人が認めてくれたり、黙認してくれたりすれば、
問題はありません。

それから、原型をとどめないほど改変されて、
元の楽曲の「表現上の本質的な特徴が残っていない」場合は、
もはや同一性保持権侵害とはいえないので、
問題ありません

ちなみに、音痴は同一性保持権の侵害になるか?
という論点がありますが、
これについては以前の記事で自分の見解を述べています。
ネタ的な内容ですが、よかったら参考にしてみてください。

[cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=2035″]

まあ、SPPであっても、そうでなくても、
あまり曲や詞を変えずに、
そのまま歌いましょうということですね。

というわけで、長くなりましたが、
参考にしていただければ幸いです。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。