コラボLIVEや、本や絵や曲などを共同で創作した場合の注意点

コラボLIVEや、本や絵や曲などを共同で創作した場合の注意点

2021年8月14日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/60800b77e326408455ee481b

スタエフでいうコラボLIVEや、コラボ配信、
本や絵や曲など、何かしら著作物を共同で創作した場合に、
実は法律的に色々な制約があるのをご存知でしょうか?

こういった、複数人で共同で創作した著作物のことを、
「共同著作物」と言います。

★「共同著作物」ではないもの

「共同著作物」には、2つの要件があり、
(i) 2人以上のものが共同して創作したものであること
(ii) 各人の寄与を分離して個別的に利用することができないこと
これを満たすと、
「共同著作物」ということになります。

したがって、例えば、
スタエフでポエムの朗読配信をよく見かけるのですが、
ポエムを創作した人と、サムネの絵を創作した人が
別々の人であっても、
これは寄与した(担当した)著作物がわかりやすく分離していて、
個別に利用できるため、
「共同著作物」ではありません
結合著作物」と呼ばれる別物になるんですね。

★「共同著作物」の注意点

話を戻しますと、
共同著作物は、創作した人みんなの共有の著作権になるので、
一見素晴らしいことのように思えるのですが、
法律的には、ちょっと注意が必要です。

というのも、共同著作物を利用する時は、
他の権利者の合意が必要になるからです。

例えば、AさんBさんCさんでコラボLIVEやコラボ配信をしたとして、
Aさんが
アーカイブに残したいとか、
文字起こししたいとか、
YouTubeにもアップしたいといった場合に、
本当はコラボしたBさんCさんの合意も必要なんですね。

また、本を共著で書いた場合に、
出版する時も、
翻訳版を出版する時も、
映画化する時も、
共著者全員の合意が必要になります。

あとは、共同著作物の著作権のうち、
自分の持分を他人に譲渡するときも、
共有者の同意が必要です。

もちろん、「正当な理由」がない限り、
他の権利者は同意を拒否したり、合意を妨げたりすることはできないのですが、
どこまでが正当な理由なのかは、少々曖昧です。

実際の事件では、
書籍の重版と韓国語版の出版を、
共著者の1人が拒絶したケースがあります。
その拒絶した理由として
内容が陳腐化しているから」
ということと、
その拒絶した方の
貢献した部分が相当上回ってるから」
という理由です。

これは結局「正当な理由」があると判断されて、
重版などの拒絶が認められました
http://www.translan.com/jucc/precedent-2000-09-28d.html
(東京地裁平成12年9月28日判決 平成11年(ワ)7209号事件)

★トラブルを防ぐために

このように、共同著作物は、利用において制限があるわけですが、
何かトラブル防止のためにできることはないのか?
と思いますよね。

一応、法律では、
著作権を代表して行使する人を定めておくことができることになっています。
これによって、トラブルを完全に防止できるわけではありませんが、
複数人で意見が異なった場合に、決まるものも決まらない、
といった事態を防ぐことはできるのではないかと思います。

なので、あらかじめ話し合って、
誰が代表者になるかを決めておくのもいいと思います。

以上、何か複数人で一緒に創作をする場合は、
ぜひご注意ください。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。