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先日、星野源さんと新垣結衣さんの結婚のニュースで、
日本中が湧きましたよね。
「俺のガッキーが…」という悲鳴が全国から聞こえて、
改めてガッキー人気を実感しました。
星野源さんも、歌に芝居にエッセイにと、
多方面で才能を発揮する素晴らしい方ですよね。
大病もされて、色々苦労もあったかと思いますが、
幸せになってほしいなと心から思います。
目次
★「恋ダンス」動画投稿の許可と削除要請
2人は、2016年の10月~12月に大ヒットしたTVドラマ
「逃げるは恥だが役に立つ」
で共演されたのがきっかけで交際し、
結婚されたわけですが、
この「逃げ恥」といえば、
やはり星野源さん作詞作曲のエンディングテーマ、
「恋」ですよね。
出演者が踊る「恋ダンス」が話題となりました。
この「恋ダンス」が人気となったこともあり、
ドラマの人気に拍車がかかったわけですが、
そうなると「踊ってみた」の動画を
YouTubeなどにあげる人が続出するようになったんですね。
ここで権利の問題が出てくるのですが、
反響が大きかったので、
所属するレコード会社である
ビクターエンタテインメントが、
ドラマ放送期間中に、90秒程度だったら、
音源使用して「恋ダンス」動画投稿していいよ、
と発表したんですね。
当時の駐日米国大使のキャロライン・ケネディさんが
投稿したこともニュースに取り上げられました。
ところが、放送終了後も、多くの人の動画が投稿され続けるので、
ビクターから
「2017年8月末日までに、動画の公開を中止し、削除してください」
という要請が出たんですね。
それでも削除しない場合は、
ビクターが「削除手続きしますよ」という予告が発表されたのです。
★削除要請は、著作権の問題ではない
多くの人は、これを「著作権」の問題だと考えているかと思うのですが、
実は著作権の問題ではないんですね。
というのも、YouTubeはJASRACと包括契約を結んでいるので、
動画を投稿したとしても、著作権の問題はクリアしているからです。
したがって、著作権が理由で削除要請しているわけではありません。
著作権とは別の権利の存在により、削除要請をしたことになります。
★「踊ってみた」動画の4つの権利
ここで、整理しておきたいのが、
「踊ってみた」の動画には、
映像の使用を除くと、
主に4つの権利が関わってきます。
①踊りの著作権
まず1つ目は「踊りの著作権」です。
あの振り付け自体が、新たな創作的な表現なので、
著作権があることになります。
ちなみに、振り付けを考えたのは「MIKIKO先生」という方です。
②音楽の著作権
それから2つ目は「音楽の著作権」です。
JASRACのサイトによると、作詞作曲は星野源さんですが、
おそらく音楽出版社の「日音」に譲渡されていると考えられます。
音楽出版社というのは、著作権などを譲り受けて管理する会社ですね。
その音楽出版社が、さらにJASRACなどに著作権の管理を委託している、という形です。
③これらの著作者人格権
さらに3つ目は、これらの権利の「著作者人格権」です。
これは創作した人のための権利で、
「著作権」と同時に発生します。
著作権が他者に権利を移転できるのに対し、
著作者人格権は、創作した人と一蓮托生のような関係で、
移転することができないのが特徴です。
ここでは、振付に関してはMIKIKO先生、
詞と曲に関しては星野源さんですね。
④著作隣接権
そして、最後4つ目が「著作隣接権」です。
「著作権」とはまた別の権利で、
具体的には「著作隣接権」の中の
「実演家の権利」や「レコード製作者の権利」が関わってきます。
「実演家の権利」は、歌ったり演奏したりしている
アーティストの権利ですね。
「レコード製作者の権利」は、
音源の原盤に発生する権利です。
業界では「原盤権」と呼ばれています。
CDの音源を最初に固定し、原盤を制作した会社の権利で、
通常はレコード会社が持っている権利ですが、
音楽出版社などが持っていることもあります。
★「恋ダンス」削除要請の理由
以上が、「踊ってみた」動画に関わる権利ということで、
もうだいたいの答えはわかったかと思いますが、
4つ目の「著作隣接権」、
その中でも特に「レコード製作者の権利」が理由で、
動画の削除の要請がされたということです。
つまり、「恋ダンス」の踊りがダメなわけではなく、
楽曲がダメなわけでもなく、
音源を使うのがダメだった、ということですね。
この辺りは、結構誤って解釈されていると思うのですが、
他の音源で許可のあるものや、
自分で演奏して歌って踊った「恋ダンス」については、
削除しなくてもよかったというわけです。
ちなみに、振付にも著作権はありますが、
特に何も声明が出されてないので、
ここではおそらく大丈夫と解釈されます。
そして、権利的に見れば、削除要請も真っ当な主張ではあるのですが、
一度公開した動画を削除することを求めるというのは、
やはり批判の声が大きかったようです。
★今後はユーザーの使い勝手よくなる?
最近は、NexToneのような、
著作権と音源の著作隣接権を同時に管理する業者も出てきましたし、
YouTubeでも著作者隣接権、
つまり原盤の権利も紐づけた管理を進めていて、
投稿した動画が削除されない代わりに、
権利者に広告料が入る仕組みが整いつつあります。
したがって、今後ユーザーにとって、
使い勝手のいい状況になっていくのではないかなと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。