【ご質問】海外の歌や替え歌の歌詞を朗読してもいい?

【ご質問】海外の歌や替え歌の歌詞を朗読してもいい?

2021年6月10日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/601e1bbd8ba7e174891f91cf

★ご質問

本日は、レターの方にご質問をいただきました。

匿名の方からのご質問

「こんばんは! べんりしほっしーさんに、質問があります! 私は朗読をしております。 海外の歌の歌詞を朗読したいのですが、 その場合の著作権の問題はどうなっているのでしょうか? あと、替え歌はどうなのでしょうか? 著作権のことが難しくてよくわかりません。 よろしくお願いします。」

朗読に関しては、
本を読む配信はグレーゾーン!気をつける点」という投稿や、
絵本の全文読み聞かせ配信はセーフ?」という投稿でも触れているので、
そちらもご参考ください。

最初に結論、次に例外、それから替え歌の問題点についてお話して、
最後にまとめをお話します。

★結論:著作権侵害になる可能性あり

原則として、海外の歌の歌詞にも、著作権が発生していることがあるので、
歌詞を朗読してネット上で配信する行為は、
「複製権」と「公衆送信権」の侵害になる可能性があります。
また、朗読をネットに載せない場合でも、
お金を徴収したり、自分の利益のためにやる場合は、
「口述権」等の侵害になる可能性があります。

したがって、これらの場合は、
その著作権を管理する団体に利用許諾の申請を出すのが、
正しい方法になります。

もちろん、古い楽曲の中には著作権が切れているものもあります。
こういうのは朗読しても問題ありません。

また、「I love you」とか「Hello」とか「Yesterday」とか、
ありふれた言葉や歌詞には著作権は発生しません。

なので、ありふれた部分を一部抜き出して朗読される分には問題ないのですが、
どこからどこまでがありふれた部分なのか、その境界線は曖昧ですよね。

つまり、お答えとしては、
全文の朗読配信はNGで、
一部の朗読配信でも、NGな場合があるので、
次に挙げる例外を除いてはやめた方がいいでしょう。

★例外①:プラットフォーム上から「楽曲申請」

stand.fmには「楽曲申請」という機能があります。
もしスタエフの配信内で歌詞を読んでしまっても、
この楽曲申請を行うことでクリアになることがあるので、
利用した楽曲が、JASRACかNexToneの管理する曲なのであれば、
申請されてみてください。
他のプラットフォームでも、そういった機能がないか調べてみることをおすすめします。

★例外②:一部の「引用」

「引用」に該当する場合です。
歌詞の一部を引用して朗読しながら、
その歌詞に関するご自身なりの解説を加えるのであれば、問題ありません。

「引用」については、これまでも何回も出てきましたが、4つの要件があります。
①引用部分とその他の部分を区別できる
②引用部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメイン
③出典を表示する
④勝手に表現を変えない
です。

また、大前提として引用元は公表されている著作物である必要があります。
未発表作品の朗読は、引用すらできません。

まず、①引用する歌詞の部分と、自分の解説部分を区別できること。
これは話し方を変えることで対処できますね。
次に、②引用する歌詞の部分がサブで、自分の解説部分がメインであること。
こちらは、ぜひ質問者さん独自の視点を加えて、
歌詞の世界を豊かに広げていってくださいね。
それから、③歌詞の出典を表示すること。
曲名とアーティスト名、作詞作曲者名を書いておけばいいと思います。
最後に、④勝手に歌詞の表現を変えないこと。
これがご質問の「替え歌」のところにも関わってくるのですが、
引用するときは、替え歌をしてはいけません。
必ず「そのまま」抜き出してくださいね。

★替え歌の問題点

ところで、替え歌って結構子供の頃からよくやっていますよね。
あれも本当は無断でやるのはNGになるというのをご存知でしょうか?
著作権の「翻案権」の侵害になり得ますし、
著作者の人格権である「同一性保持権」の侵害にもなり得ます。
やっぱり、著作物である歌詞を、作者の意思に反して変えられてしまうと、
嫌だなと感じることがあるかもしれないですよね。
そういった理由です。

したがって、歌詞を変えて朗読される場合は、
著作権を管理しているところに直接問い合わせて、
許諾を得ることが必要ということになります。
この場合に、スタエフの楽曲申請機能が使えるかはわかりませんので、
その点はご確認ください。

そして、原曲の著作権関係者から許諾を得た替え歌が、
自分で作ったものなら、朗読しても大丈夫です。
しかし、自分以外の人が替え歌を作ったのなら、
原曲の他に、その替え歌の作者から許諾を得る必要があります。
替え歌も「二次的著作物」といって、著作権が発生しているためです。
なので、この点についてお気をつけください。

★まとめ

以上をまとめますと、
海外の歌詞にも著作権が発生していることがあるので、
基本的には、朗読の際にしかるべき団体に許諾を申請することが必要です。
この場合、standfmには楽曲申請という機能があるので、それを利用できることをお話しました。
また、引用に該当すれば、歌詞を朗読することが可能ということでしたね。
そして、替え歌にも権利の問題があるので、やはり許諾を得てください。
自分以外の人が作った替え歌なら、替え歌の作者の許諾も必要です。

著作権のことを知れば知るほど、
厳しくて難しくて、どんどん自由がなくなって嫌になってくるんじゃないかなと思います。
大切なことは、こういう原則を知った上で、自分がどう行動するかを考えることにあると思うので、
ぜひ、作者への敬意をこめながら、歌詞の朗読を楽しまれていってください。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。