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★「読書LIVE」は3方よし
最近、毎朝本を読んで解説していく、「読書LIVE」というのをやっています。
単に1冊ピックアップして、ポイントを紹介していって、
自分のコメントを挟む、という内容です。
リスナーさんとコミュニケーション取りながら、参考になる情報がお届けできるし、
自分が本を読んで実践するきっかけにもなるし、
本が売れたら作家さんや出版社さんが喜ぶし、
自分では3方よしのつもりでやっています。
★実は法的に問題がある?!
ただ自分でやっていてなんなのですが、
著作権法の上で少々問題を抱えていることは否めません。
どういうことかと言いますと、
本に書かれた内容は、著作物なので、
無断でネット上で読み上げることは、
著作権上の複製権と公衆送信権の侵害になり得るからです。
もちろん、著作権が切れた本の朗読なら問題ありません。
ちなみに、オフラインで本を読むことは、
口述権という権利の侵害になり得ます。
したがって、自分のやっていることは、実はかなり法的に問題がある行為である
ということがいえます。
★「引用」に該当するように配信
というわけで警察に出頭してきます、と言いたいところですが、
実は著作権法には例外規定があり、
「引用」という形なら、著作物を利用することができます。
「引用」というのは、
批評や報道、研究のために、公表された著作物を
著作権者の許諾なしで利用できる行為です。
そこで、引用の要件に当てはまるかが問題になります。
引用の要件については、「「勉強した内容をシェアする」って法的にOK?」という配信で詳しく説明しました。
もう1度おさらいしますと、
①引用部分とその他の部分を区別できる
②引用部分がサブで、自分のコンテンツ部分がメイン
③出典を表示する
④勝手に表現を変えない
との4つの要件が必要になります。
また、「公表されている」著作物である必要があります。
これらの要件を満たしていれば、
ネット上で本を読み上げても問題ないのですね。
★現在とこれから気をつけること
ネット上で本を読む時に、自分はどういうところに気をつけているかというと、
まず、引用する部分を少しゆっくり目に、前後に間を開けて、
「…とこの本には書かれています」
と引用部分がわかるように話しています。
①の引用部分とその他の部分を区別するところですね。
それから、なるべく自分のコメントを挟み、
またリスナーの方のコメントなどを読み上げたりしています。
②の引用がサブ、自分の部分がメインの主従関係のところです。
ここが一番の鬼門で難しいところなのですが、
できるだけ本の中の具体例も、自分で考え直してみる、という工夫もしています。
それから、出典を堂々とタイトルに書くこと。
これは③に当たりますが、本を紹介する配信なので当たり前ですね。
そして、④勝手に表現を変えないことについては、
引用部分はそのまま読むことにつきます。
やや端折ってしまったり、滑舌がよくなかったり、
至らないところもありますが、
ここも気をつけていきたいと思います。
これからですが、
「読書LIVE」というタイトルをやめて、
「書評LIVE」にしようかなと検討しています。
というのも、著作権法で認められる引用は、
「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」
に限られるからです。
本を読むという「読書」だと、引用の目的としてはやや不十分かなと思うので、
批評の目的であることを示す「書評」の方が妥当だからです。
もちろん、これだけ気をつけていれば
実際に訴えられるケースはほぼありませんが、
一応法律の仕事をしている以上、
ルーズな部分を見せると示しがつきませんからね。
というわけで、今後もニーズが続く限り改善していきますので、
毎朝7時30分頃に遊びにきていただければと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。