自作の曲を公開したら「俺のに似てる」と警告…!公開やめるべき?

自作の曲を公開したら「俺のに似てる」と警告…!公開やめるべき?

2021年9月29日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/60b4b3b1a9cdfbdcc0720941

★警告を受けた時に、まずやるべきでないこと

自分で作曲をした音楽を、スタエフなどの音声メディアや、
YouTubeなどの動画メディアに公開した時に、
自分の曲に似てるから、配信を削除してください
と警告を受けてしまったとします。
この場合に、相手方の主張に大人しくしたがって、
配信を削除すべきなのでしょうか?
みなさんはどう思いますか?

確かに、全く身に覚えのないことで、いきなり警告がきたら、
ちょっと驚いて動揺してしまいますよね。
相手の曲を聞いてみて、実際に似てる部分があるとしたら、
「これはまずいかも」と思われるのも無理はないと思います。

こういう時に、一番やるべきでないことは、
自分で判断して、相手の警告に回答をしてしまうことです。
やはり、こちらの発言した内容を元に、
相手から強気で責められる可能性があります。

なので、まずは著作権に詳しい弁護士や弁理士などの専門家に相談することです。

★「たまたま似ていた」は著作権侵害じゃない?!

その上で、覚えていただきたいのが、
曲が似ているというだけでは、著作権侵害にならない
ということです。

特許だとか商標といった権利は、
「たまたま似ていた」
だけでもアウトなのですが、
著作権の場合は、ちょっと違っていて、
「たまたま似ていた」
だけでは、権利侵害にはならないんですね。

ちなみに、ここでの著作権の権利侵害は、
「複製権」と「翻案権」の話をしていきます。
「複製権」は、原曲をそっくりそのままコピーする権利で、
「翻案権」は、原曲をちょと変えてアレンジする権利です。

この「複製権」と「翻案権」において、
「たまたま似ていた」で侵害にならないのは、
「類似性」だけではなく、
依拠性」というのが、
要件になってくるからなんですね。

「依拠性」は、
「依頼する」の「依」に、「根拠」の「拠」、「性質」の「性」、
と書きます。
「依拠」は、あるものを「拠り所とする」とか「基づく」とか、
そういった意味合いです。

つまり、
他人の楽曲の存在を知りつつ、それに基づいて作曲する
場合に、「依拠性」があると言います。

このお話は、以前の記事で説明をしましたので、
もしよろしければ、そちらもご参照ください。

[cardlink url=”https://samuraitz.com/?p=1835″]

★どういう場合に侵害になるか?

では、どういう場合に侵害になってしまうのか?を考えてみると、
「類似性」と「依拠性」、どちらもある場合になります。

例えば、元の楽曲を機械的にコピーして「自作の曲です」というのは、
これは言い逃れできないほど類似してるし、依拠してると言えますよね。
なので、「複製権」侵害になります。
これは公開をやめるべきでしょう。

それから、元の楽曲を知っていて、
類似度が高く、ほぼほぼ同じものを自作の曲として発表した場合も、
同様に「複製権」侵害になります。
この場合も、配信を削除した方が無難です。

それから、元の楽曲を自分でアレンジして、
自分の曲として発表することは、
翻案権」の侵害になる可能性があります。

アレンジしすぎて、原型をとどめていない場合は、
侵害にはならないですが、
原曲の「表現上の本質的な特徴」が「直接感じとれるほど」に
似ている場合は、「翻案権」侵害になるんですね。
身に覚えがある場合は、大人しくその配信を消しておくのが無難です。

一方、完全に自分で作曲し、原曲も聞いたことすらない場合は、
侵害にはなりません
原曲に依拠してないからですね。

★依拠性は、原則相手に立証責任

ここで、原曲に依拠してるかどうか、については、
侵害を訴える側、つまり原曲側の権利者が、
証拠を挙げて主張しなければなりません。

例えば、実際に原曲に接する機会があって、
その原曲はオリジナリティも相当高いのに、
誰が見ても真似したようにしか見えないほど似ているとか、
そういったことを証明するわけですね。

「たまたま似ていた」と言われてしまったら、
侵害を主張できなくなるので、
「たまたまじゃなくて、明らかに真似してきてる」
ってことを証明する必要があります。

考えていただくとわかるように、
これは結構ハードルが高いです。
したがって、権利者側になった場合は、
この点にお気をつけください。

以上、自作の曲を公開した場合に、
「この曲は私の曲に似てるから、削除せよ」と警告が来ても、
まずは専門家に相談し、
原曲に接する機会がなかったのであれば、
著作権侵害にはならないことを覚えていただければと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。