「ひょっこりはん」が著作権侵害?フリーBGMの利用規約違反に注意!

「ひょっこりはん」が著作権侵害?フリーBGMの利用規約違反に注意!

2018年6月1日

「サムライツ®」の弁理士、保屋野です。

最近注目を浴びている、よしもと芸人さんの「ひょっこりはん」が、
ネタの中で使用しているフリーBGMの著作権を侵害しているのでは?
というニュースが話題となっております。

この「ひょっこりはん」のネタの中で使用されているのは、
「MusMus(ムズムズ)」というフリーの音楽素材サイト
の中で配布されている「Sonorously Box(ソノーラスリーボックス)」という楽曲で、
そのうちの冒頭の7秒間だけが使用されているようです。
「MusMus」HP:http://musmus.main.jp/chiptune.html

当然、制作された音楽には著作権が発生しておりまして、
たとえ「フリー」という記載があったとしても、
著作権がなくなるとか、無効になるとか、放棄した、といったことにはなりません

「フリー」というのは、あくまで著作権者が設定した条件の範囲で利用するなら、
お咎め無し、つまり権利を行使しませんよ、という意思表示にすぎないわけなんですね。

一方今回のケースでは、設定した利用規約の範囲を超えている、ということです。
http://musmus.main.jp/blog/hyokkorihan01/

具体的には、
芸人側の楽曲利用は、
・権利元の「MusMus(ムズムズ)」の楽曲であることのクレジット表記がなされていない
・表示が難しい場合の「有償ライセンス」の使用料も支払われていない
・無断で他の企業に二次的使用を許可している
・楽曲が改変されて、勝手にmoraやレコチョクなどの音楽配信サイトで販売されている
とのことです。

これらの点について、抗議と販売停止を依頼したものの、
1週間何も進展がなかったために公表に踏み切ったということなんですね。
さすがに、配信サイトのmoraは、この公表を受けて、無断で改変・販売された楽曲の一時配信停止を決定しました。
(※6月4日追記:その後、権利元と芸人側との間で、問題が決着したとのことです)

BGMや効果音を用いて、パフォーマンスをよりよいものにしたい!
ビジネスとして稼ぎにつなげたい!
という気持ちは、理解できます。

しかし、利用規約を守らずに、あるいは確認せずに、
他人の著作物を利用することは、やはりまずかったと言わざるをえないでしょうね。

しかも今回は、わざわざ著作権者側からコンタクトを取って、
後追いで「規約を守るならいいですよ」と寛大な対応をしたにもかかわらず、
不誠実な対応をされたということで、
ちょっといただけない事案だなと思いました。

私自身も情報配信をする身として、気をつけないといけないのですが、
みなさんもぜひ、「フリー素材」を利用される場合は、
クリエイターを最大限に尊重して、規約をご確認いただければと思います。