こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
 https://stand.fm/episodes/604ad4f816cc32d4f71ec057
stand.fm(スタエフ)の「コミュニティガイドライン」や「利用規約」については、
 たびたび解説をしていますが、
 その中の「音楽の利用」について、
 「楽曲申請できる場合」と「できない場合」があるのは
 なんでだろうと思いませんか?
簡単に答えを言いますと、
 「著作権」とは別の権利があるから、
 なのですが、
 ちょっと詳しく説明していきます。
★楽曲申請できる場合
まずはおさらいなのですが、
 「楽曲申請できる場合」は、
 ・「JASRACまたはNexToneが管理する楽曲」
 を、
 ・「生演奏、アカペラ、歌詞の朗読、自分でデータを入力して作成した音源の配信の形」
 で利用する場合です。
 (stand.fm「コミュニティガイドライン」より)
 https://help.stand.fm/community-guideline
★楽曲申請できない場合
したがって、
 ・「JASRACまたはNexTone以外が管理する楽曲」
 は、楽曲申請できませんし、
 ・「CDやカラオケなどの音源をそのまま配信する場合」
 も、楽曲申請できません。
 すなわち、権利を管理しているところに、
 利用について直談判する必要があります。
★楽曲申請できない理由
「JASRACまたはNexTone以外が管理する楽曲」が楽曲申請できないのは、
 当然ですが、stand.fmはJASRACとNexToneとのみ提携しているからですよね。
 これについては異論はないと思います。
では、たとえJASRACとNexToneが管理する楽曲であっても、
 「CDやカラオケなどの音源をそのまま配信する場合」は、
 楽曲申請が認められないのはなぜか、ご存知ですか?
これは、音源には「著作権」とは別に、
 「演奏者の権利(実演家の権利)」と「レコード会社の権利(レコード製作者の権利)」があるからなんですね。
 「実演家の権利」は、音楽を歌ったり演奏したりするアーティストの権利で、
 「レコード製作者の権利」は、音楽の原盤を制作する、レコード会社や音楽制作会社、音楽出版社やプロダクションの権利です。
この「実演家の権利」と「レコード製作者の権利」は、
 「著作隣接権」という種類の権利になります。
 「隣接」は隣り合わせの「隣接」です。
 著作物を作り出したわけではないけど、
 著作物を広めるために、創意工夫をしているから、
 著作と隣り合わせの権利「著作隣接権」ということです。
ちなみに、「著作隣接権」には、「実演家の権利」と「レコード製作者の権利」の他にも
 「放送事業者の権利」や「有線放送事業者の権利」が含まれます。
そして、音源に含まれる「実演家の権利」と「レコード製作者の権利」は、
 JASRACやNexToneは、管理していないんですね。
 *ご参考:「JASRACのしごと」
 https://www.jasrac.or.jp/park/work/
だから、いくらスタエフがJASRACやNexToneと提携しているといっても、
 個別の実演家やレコード製作者と提携しているわけではないので、
 スタエフの「楽曲申請」だけでは法律面をクリアできないんですね。
スタエフのガイドラインでも、
 「CDやカラオケなどの音源をそのまま配信する場合」は、
 「個別に権利保有者から許諾をとったうえでご使用ください」
 と言っているのはそういう理由です。
これが、今回のテーマの答えになります。
★個別に許諾取ることはできる?
では、個別に許諾を取ることはできるのか?
 ということですが、窓口はあるものの、
 個人が配信のために許諾を取るのは、
 あまり現実的ではないかなと思います。
無料ではありませんし、
 お金も結構かかるという話ですからね。
 (ただし、配信で無料利用できるカラオケ音源を提供しているサイトもあります)
したがって、配信の中で音源を使うのは、
 自分で作ったものか、
 ちゃんと規約で認められている著作権フリーのBGM以外は、
 基本的にやめておいた方がいいということを覚えておいてください。
※補足
 ①作詞者、作曲者、編曲者→著作権
 ②実演するアーティスト→実演家の権利(著作隣接権)
 ③レコード会社等→レコード製作者の権利(著作隣接権)
 というざっくり3つの権利があって、
①は、JASRAC、NexToneに管理を委託してるものは、スタエフの「楽曲申請」すればOKですが、
 ②、③はそれができないということです。
「生演奏、アカペラ、歌詞の朗読、自分でデータを入力して作成した音源の配信の場合」なら、①だけが関わってくるのですが、
「CDやカラオケなどの音源をそのまま配信する場合」は、①②③が関わってくるので、スタエフ側ではどうしようもできないということです。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。
