ウェブサイトをスクショしてSNSに上げていいの?(前編)

ウェブサイトをスクショしてSNSに上げていいの?(前編)

2021年6月10日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/60190fa98ba7e16d0a1f21ba

★ウェブサイトのスクショに含まれる権利

何かブログやnoteの記事を書いたり、
Twitterで発信したりするときに、
ウェブサイトのスクショを載せることってありますよね。

PCやスマホにはスクショの機能がついているので、
ついつい気軽にスクショ(ダウンロード)して、
オンライン上にアップロードしてしまいます。

ところが、ウェブサイトの表示は、
ウェブ制作をした人やサイトを運営している人に著作権がありますし、
中身のコンテンツは、
コンテンツを作った人に著作権があります。

したがって、スクショして無断でネット上にアップする行為が、
実は著作権法上は問題があるんですね。
より詳しく言いますと、
スクショの行為そのものは複製権、
スクショしたものをネットに上げる行為は、公衆送信権
の侵害に該当する場合があります。

ただもちろん、スクショの全部がダメというわけではありません。
そこで、「スクショ(ダウンロード)行為」については前編、
「ネット上でのアップロード行為」については後編と、
2回に分けて、やって大丈夫なケースを解説します。

★こういうスクショなら問題なし

①適法にアップロードされたもののスクショ

まず、「適法にアップロードされたもの」をスクショすることは、
問題ありません。
適法にというのは、著作権者の公式サイトとか、公式のアプリなどですね。
著作権者の許諾を得たものや、引用の要件を満たしたものも含みます。

なお、出版社では「ABJマーク」、
音楽や映像に関しては「Lマーク」を
適法なサイトに表示していますので、
参考にされてみてください。
https://aebs.or.jp/ABJ_mark.html
https://www.riaj.or.jp/leg/lmark/

②違法にアップロードされたことを知らなかった場合のスクショ

また、「違法にアップロードされたことを知らずに」
スクショすることも、大丈夫です。
これを聞くと、大抵の方は安心されるんじゃないかなと思います。
現実的によく行われていますしね。

ただし、明かな海賊版サイト等からスクショするのは、
さすがに「知らずに」とはいえないので、やめた方がいいでしょう。

③適法なものをスクショした時に、違法なものが写り込んだ場合

例えば、Twitterなどの画面をスクショしたとします。
その時に、漫画やアニメのキャラの画像を勝手に使っているアイコンが、
写り込んでしまうことがありますよね。
このスクショには、違法にアップロードされたものが写り込んでいますが、
問題ないということになります。
ただし、写り込んだものが「付随的なもの」である必要があります。
違法部分がメインではいけませんね。

④軽微なもののスクショ

例えば、数十ページある漫画の1コマ~数コマ程度なら、
軽微なものなので、問題ありません。

どの程度なら軽微かは曖昧ですが、
対象の著作物全体に対して数%くらいという印象です。
1コマ漫画の1コマをスクショするのは、
全体に対して100%なので軽微とはいえません。

また、画質が粗くて見にくい場合も軽微とされます。
YouTube動画の1シーンをスクショするような場合ですね。

⑤二次創作やパロディ作品のスクショ

これは意外に思うかもしれませんね。
例えば、今だと鬼滅の刃のキャラクターなど、
いろんな二次創作やパロディが行われていて、
黙認されている現状があるので、違法にはなりません。
原作の売り上げに悪影響がないし、
むしろ原作を盛り上げることもあるので、共存共栄となっています。
若手クリエイターを育てる側面もありますね。

ただし、二次創作やパロディそのものを違法にアップロードしたものは、
これらの二次創作の権利を侵害しているので、
スクショできません。

⑥その他

著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合は、
スクショしても大丈夫です。
曖昧ではありますが、ネット上で権利に怯えながら情報収集活動するというのは、
あまり望ましいことではないですよね。
変に萎縮しないようにと柔軟に解釈するための、安全弁としてこうなっています。
ちなみにこれを「バスケットクローズ」とか「包括条項」などと言います。

★スクショはそこまで問題にならない

以上、スクショ行為の大半は、そこまで問題になることはないことが、わかったかと思います。
問題になるのは、漫画や小説などまるまるダウンロードしたりする行為です。
したがって、長々と説明しましたが、そこまで萎縮する必要はありません。

次回は後編として、「スクショしたものをネットにアップロードする行為」について、
解説したいと思います。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。