「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。
先日デビュー25周年を迎えたばかりの歌手の安室奈美恵さんが、
来年9月16日をもって引退することを発表されました。
(公式サイトより)
“アムラー”と呼ばれる、安室さんを意識したメイクやファッションをする女性たちが、
街にあふれていた当時を思い出します。
ブームが去った後も、安室さんの自分を貫く意思やスタイル、プロフェッショナルなパフォーマンスは、
ファンを惹きつけ続けましたね。
「安室奈美恵」は本名らしいのですが、
実は所属事務所名義の6件の商標登録があります。
指定する商品の分野は、
時計やアクセサリーの分野、カバンの分野、布団や毛布の分野、衣服や靴の分野、
衣服用のブローチやワッペンの分野、キーホルダーの分野です。
いずれも、「安室奈美恵」の漢字と「AMURO」の英文字の二段書きの構成からなります。
しかし、同じ態様の商標なのに、
残念ながら審査で拒絶されて、登録にならなかった件もあります。
別に先に似た商標が存在していたわけではありません。
実は、「指定していた商品」が理由で、拒絶されてしまったのです。
その件で指定していた分野は、
(カレンダー等の)印刷物や、(ブロマイド等の)写真の分野。
アーティストとしては、いかにもありがちな商品ですし、
なぜこれがダメなのか?
疑問に思う方もいるかもしれません。
商標というのは、”自社の商品と他者の商品を見分けるための文字や図形や記号等“のことをいいます。
一方、人気アーティスト名がこれらの商品について使用される場合、
それは自他の商品を見分けるもの(商標)というよりも、
“その人気アーティストに関する内容を表示するもの”
と判断されてしまうからなのです。
安室奈美恵さんのブロマイド写真や、安室奈美恵さんの写真が印刷されたカレンダーに、
「安室奈美恵」と書いてあっても、それは”この写真の人物が安室奈美恵さんですよ”と説明しているにすぎませんよね?
このようなロジックに基づいているわけです。
もちろん、登録が取れなかったからといって、さほど問題は生じないと考えられます。
まったく関係のない、名前も異なる第三者が、
「安室奈美恵」の名前で芸能活動したり、
それこそブロマイド写真やカレンダーを発売したりすることは、
不正競争行為に該当し、差し止めることができると考えられるからです。
安室さんが引退しても、「安室奈美恵」の商標権を維持しなくなったとしても、
この不正競争行為で片づけることができそうです。
これも安室さんによる長年の努力と、それに伴って築かれた知名度の賜物ですね。
参考動画:
その他の参考記事:
・「堀北真希」は登録商標:http://wp.me/p9cvKw-2L
・アーティスト名の商標出願についての注意点:http://wp.me/p9cvKw-5p