文字商標を登録すれば、図形商標の登録は不要?

2017年9月22日

「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。

文字商標で登録しておけば、
その文字の含まれた図形商標は登録しなくてもよいか?
とのご質問をいただくことが多いです。

基本的には、文字商標と図形商標は別の商標ですので、
当然別々に出願・登録されることをおすすめ致します。

そうはいっても、コストの関係で1件で済むならそうしたい
これが本音ですよね。

その図形商標を登録した方がいいかどうかは、
どんな図形なのかで異なります。

考え方としては、
登録しなかったとしても、
①その図形商標を自社が使い続けることができるか?
②その図形商標(又は類似する商標)を他者に無断で使われないことができるか?
という2つの観点から考えます。

YESなら登録しなくてもよく
NOなら登録した方がよいといえます。

①については、その図形商標に同一・類似する商標を他者が商標登録してしまうと、
使うことができなくなる恐れがあります。
文字商標とその他者の商標が類似していない場合は、これにあたります。
このリスクを防ぐなら登録した方が良いですね。
他方、文字商標とその他者の商標が類似している場合は、
相手は登録することはできないので、こちらが図形商標を登録しなくても大丈夫です。

②については、その他者の商標がこちらの文字商標と類似していない場合は、
相手は自由に使い放題です。
それによって、こちらが何か損害を被るようであれば、登録した方が良いといえます。
文字商標とその他者の商標が類似している場合は、
相手の使用を差し止めることができるので、図形商標を登録しなくても大丈夫です。

したがって、原則、文字と図形は両方出願(登録)した方がいいけれども、
コストの関係でできれば1件にしたいという場合は、
上記のような観点を踏まえて、ご検討されるのがよいでしょう。

参考動画: