話題のサウナグッズ「たまも~る」が“商標の無料開放”を開始――商標を「囲う」から「市場を育てる」へ

話題のサウナグッズ「たまも~る」が“商標の無料開放”を開始――商標を「囲う」から「市場を育てる」へ

今回取り上げるのは、こちらのニュース。

・「SNSで話題の「たまも~る」(商願2025-141403)が商標を無料開放。」(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000178048.html

男性向けサウナグッズとして話題の「たまも~る」が、商標を承認制・ロイヤリティ無料で開放し、周辺グッズの共同開発パートナーを募集する取り組みを始めたようです。
商標というと「自社だけで独占するための権利」というイメージが強いですが、今回の動きは少し方向が違います。


何を“無料開放”するのか:対象は「周辺グッズ」

発表では、無料開放の対象を 収納・持ち運び・設置のための容器、ホルダー、ケース等とし、一定の条件(ガイドライン)を守った上で、申請・承認を受ければ商標使用料を無料にする、とされています。

ここがポイントで、「たまも~る本体」そのものを誰でも名乗れるという話ではありません
つまり、類似品を作って「たまも~る」と名付けるのはNGと考えられます。
あくまで「周辺機器」によって、衛生・マナー面の課題を“市場ごと”解決しよう、という設計です。


なぜ今、商標を“オープン”にするのか:衛生・マナー問題を市場で解く

発表内容を読むと、背景には次のような課題意識が見えます。

  • 施設内での置き場所(共有棚等)
  • 衛生面や見た目に関する懸念
  • 施設側・利用者側双方が受け入れやすい利用環境の整備

こうした問題に対して、「排除」ではなく「環境整備」で解決したい、という方向性が示されています。
商標を“囲い込み”の道具ではなく、ルール形成・市場形成の道具として使っている、という見方もできます。

新市場ほど、こうした打ち手は効きやすいです。
「周辺グッズが標準化して、施設側も受け入れやすい」状態になれば、ブランドも利用環境も同時に育ちます。


ただし注意:無料開放でも「類似品に同じ名前」は別問題

ここは誤解が起きやすいところです。

  • 今回の無料開放は、周辺機器の開発促進が主目的
  • 類似品そのものに「たまも~る」と名付けることがOKになる話ではありません

商標の使用許諾は、あくまで権利者が「どこまで・何に・どう使ってよいか」を決めるものです。
周辺機器向けの許諾が、そのまま競合品の名称使用まで許す、という整理には通常なりません(むしろ、そこは守るのが普通です)。


もう一点注意:「商標出願中」なら、そもそも“許諾が不要な局面”もある

発表では「商願2025-141403」として、出願中であることが示されています。
ここも実務的には注意ポイントです。

一般論として、商標権は登録で発生します。
出願中は、まだ「商標権による排他」が確定していない局面があり、使用許諾の意味合いも、登録後とはズレが出ることがあります。

一方で、ブランド運営の観点では、出願中でも

  • ガイドラインで品質・衛生・デザイン基準を揃える
  • 承認制で“誰が使っているか”を把握する
  • 市場に出る周辺品の方向性を整える
    といった効果は出しやすい。ここが今回の設計の「狙い」だと思われます。

実務的な学び:商標は「独占」だけじゃない。市場を整える武器にもなる

今回のように、商標を

  • ただ守る(クローズ)
  • ただ広げる(無制限にオープン)

の二択ではなく、「承認制・ガイドライン付きで、周辺だけオープン」のように使うのは、戦略としてかなり合理的です。
特に、衛生・マナーなど“社会的受容”が普及のボトルネックになる市場では、効き方が大きいと思います。


最後に:商標は「取る」だけでなく「どう使うか」で差が出ます

商標は登録がゴールではなく、登録後に

  • どこまで許諾するか
  • どんな条件で使わせるか
  • どこは絶対に囲うか
  • 炎上・品質事故をどう避けるか

まで含めて設計すると、ブランドも市場も伸ばしやすくなります。

「自社の商標、オープン戦略が向くのか?」
「許諾範囲やガイドライン、どこまで設計すべきか?」
迷う段階で整理しておくと、後からの手戻りが減ります。

サムライツ®︎知財事務所では、商標出願だけでなく、登録後の運用(許諾設計・指定商品役務の設計・ブランドの守り方)まで含めて、
「通しやすい設計」と「想定外が起きたときの打ち手」を一緒に組み立てます。
気になる段階で、無理のない形でご相談ください。

※サムネ画像は「たまも~る」公式HP(https://tamamall.co.jp/)より引用