コスメブランド名を商標登録しておく必要はある?大手化粧品メーカーが商標取得を徹底している理由

コスメブランド名を商標登録しておく必要はある?大手化粧品メーカーが商標取得を徹底している理由

コスメブランドを立ち上げた個人事業主や小規模メーカーから、
ブランド名の商標登録って本当に必要ですか?」という相談をよく受けます。

結論から言えば──
コスメブランド名は必ず商標登録しておくべきです。
むしろ、化粧品業界は商標戦略が最も重要な分野のひとつです。

この記事では、コスメブランドで商標登録が不可欠な理由と、
実際に化粧品メーカーが商標取得を徹底している背景を解説します。


結論:コスメブランド名は必ず商標登録すべき

化粧品の購入時、消費者が重視するのは「品質」や「成分」「仕上がり」などの実質的な価値です。
しかし、同じような機能の商品が数多く並ぶ中で、最終的な選択を左右するのはブランド名やロゴによる信頼感・世界観です。

つまり、コスメ業界において「ブランド名」は単なる名前ではなく、
品質や体験への“信頼の象徴”として機能しているのです。

そして、どんなに成分や品質が優れていても、ブランド名が他社に奪われたら販売できなくなるおそれがあります。

商標登録をしておくことで、

  • 自社のブランド名を独占的に使用できる
  • 他社による類似名称の使用を止められる
  • ECモール・広告で「正規ブランド」として認められる
    といった法的・実務的メリットを得られます。

逆に登録していないと、次のようなリスクが現実的に生じます。

リスク内容具体的な影響
他社に同じブランド名を登録される自社がその名前を使えなくなる
類似ブランドが出現し混同される顧客離れ・ブランド価値低下
ECモールでの出品停止商標証明がないと「正規ブランド」と認められない
海外OEM先に商標を奪われる現地で販売・輸出できなくなる

化粧品メーカーが商標登録を徹底している理由

商標の重要性は、業界大手の行動からも明らかです。
特許庁が公表した「特許行政年次報告書2025年版」によると、
商標権の取得件数ランキング上位の多くを化粧品メーカーが占めています。

順位企業名商標権取得件数(2024年)
1位花王株式会社447件
2位株式会社コーセー426件
3位株式会社資生堂370件
4位小林製薬株式会社252件
5位パナソニックホールディングス株式会社229件
6位サントリーホールディングス株式会社186件
7位株式会社ノエビア146件
8位日本メナード化粧品株式会社145件
9位ロート製薬株式会社140件
10位コスメカンパニー株式会社136件

出典:「特許行政年次報告書2025年版」(特許庁)

上位10社のうち5社が化粧品メーカー、パナソニックを除いた他4社も化粧品を扱うメーカーという結果からも、
この業界がいかに商標を重視しているかがわかります。

これらの企業は、製品名・シリーズ名・キャンペーン名・成分ブランドなど、
あらゆるネーミングを戦略的に商標登録しています。
これは、他社による模倣や市場混乱を防ぐと同時に、
「ブランドを資産として保護する」ための基本戦略です。


コスメブランドで特に商標登録すべき名称

登録対象登録理由・ポイント
企業ブランド名(例:コーセー、SHISEIDO、ノエビア)最も重要。商品の統一ブランドとして使う名称。ハウスマークとも言う
シリーズ名(例:SK-II、コスメデコルテ、雪肌精)商品群ごとに異なる名称を展開する場合は登録価値が高い。ファミリーネームとも言う
商品名(例:レチノパワー リンクルクリーム、クリーミータッチライナー)個別商品で定着する名前(ブランド力が高まると、シリーズ化することがある)ペットネームとも言う
ロゴマークデザイン・視覚的印象を保護
成分ブランド名(例:ミラクルブロス、ディープリフティカルコンプレックス)独自成分を差別化ポイントにする場合

コスメ業界で商標が特に重要な理由

  1. ブランド志向の強い市場特性
    • 消費者は「誰(どこ)が作ったか」で商品を選ぶ傾向が強く、企業ブランド名(ハウスマーク)が購買の信頼要素となる。
    • 他社に似た名称を使われると、売上や信頼に直結してダメージを受ける。
  2. OEM・海外生産のリスク
    • 海外工場や代理店が同名ブランドを現地登録してしまう「先取りトラブル」が多発。
    • 登録がないと、自社ブランドなのに輸出や販売を止められるケースも。
  3. 広告・SNSでのブランド展開
    • インフルエンサーやSNS広告で急拡散しやすい分、他人に模倣されるリスクも高い。
    • 商標登録があれば、Instagram・Amazon・楽天などで公式ブランド認定を受けやすい。

登録時に選ぶべき区分(指定商品)

コスメブランドの場合、基本的には第3類(化粧品・香料など)が中心です。

主な商品該当区分指定商品の例
化粧水・乳液・クリーム第3類化粧品,美容液,乳液,ハンドクリームなど
シャンプー・ヘアケア商品第3類シャンプー,コンディショナー,整髪剤など
香水・フレグランス第3類香水,芳香剤など
化粧用具第21類ヘアブラシ,化粧用スポンジ,化粧品入れなど
コスメ販売・ECサイト第35類化粧品の小売又は卸売に関する業務

よくある誤解と正しい理解

誤解正しい理解
SNSで使っているから自分の権利になる登録しなければ法的な独占権は得られない
商品を販売してから出願すれば十分人気が出る前に出願するのが安全(早い者勝ち)
企業ブランド名だけ登録すれば十分シリーズ名・ロゴも戦略的に登録すべき
小規模ブランドには不要小規模ブランドほど模倣・先取りのリスクが高い

専門家に相談するメリット

弁理士に相談すれば、次のようなサポートを受けられます。

  • 企業ブランド名(ハウスマーク)・商品名の商標登録可否調査
  • 適切な区分(第3類・第35類など)の選定
  • シリーズ・成分名の出願戦略設計
  • 海外展開を見据えたマドリッド・プロトコル出願対応
  • ブランド維持・不使用取消防止のアドバイス

まとめ

コスメブランド名の商標登録は、もはや「選択」ではなく「必須」です。
化粧品業界では、花王・資生堂・コーセー・ノエビアなど、
大手メーカーが毎年数百件単位で商標を取得しています。
それは「ブランド名こそが最も重要な資産」であることを知っているからです。

あなたのコスメブランドを守るために──

  • 企業ブランド名・シリーズ名・ロゴを早期に出願する
  • 第3類(化粧品)+第35類(小売)を適切に選定する
  • 海外展開を見据えて国際出願を準備する

小さなブランドこそ、商標登録で「確かな信用」を築きましょう。
それが未来のブランド価値を守る、最初の一歩です。