商標出願が失敗したら出願料は戻る?弁理士の視点で徹底解説

商標出願が失敗したら出願料は戻る?弁理士の視点で徹底解説

商標出願にかかる費用と「失敗したら返金されるのか?」という素朴な疑問

商標出願には一定の費用がかかります。

そのため、「もし拒絶されたら?」「途中で取り下げたら?」と不安になる方も多いでしょう。

特に中小企業や個人事業主にとって、出願料は決して小さな金額ではありません。

今回は、商標専門弁理士の立場から、商標出願が失敗した場合に出願料が返還されるのかどうかを、ケースごとに解説します。

商標出願料の基本的な仕組み

出願時に必要な費用と支払い方法

商標出願を行う際には、出願と同時に「出願料」を納付します。

これは1区分につき12,000円2区分目以降は1区分ごとに+8,600円)で、特許庁への納付が必要です。

区分数に応じて変わる出願料の内訳

出願する商品・サービスの分類(区分)が増えるほど、出願料は増加します。

たとえば、3区分で出願する場合は、

12,000円(1区分目)
+8,600円×2(追加2区分)
29,200円

が必要となります。

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商標出願が失敗した場合のケース別対応

拒絶査定になった場合:出願料は返還される?

出願後に審査で拒絶査定を受けた場合、残念ながら出願料は返還されません。これは、審査手続がすでに実施され、行政サービスが提供されたという扱いになるためです。

出願の取下げ・放棄をした場合の扱い

出願人の都合で出願を取下げたり放棄した場合も、出願料は原則として返金されません。出願直後に気が変わって取り下げたとしても、いったん納付された出願料は「使われた」と見なされるのです。

商標出願料の返還制度は存在するのか?

特許庁の公式見解と運用実態

特許庁の公式見解として、商標出願料は「原則返還不可」とされています。

ただし、例外として「誤納」などの明らかなミスがあった場合には、既納手数料返還請求により返還される可能性があります。

この場合は、「納付済金額」「適正納付金額」「返還請求金額」を記載するなど、所定の様式に従って請求書を特許庁に提出する必要があります。請求の期限は「納付した日から1年以内」です。

誤納以外の返還はあるのか?

たとえば、誤って過剰な区分数で納付した場合等は、一定の条件下で返金されることがあります。ただし、「審査の結果が不満だから」「計画が変わったから」といった理由では返還はされません

商標専門弁理士が教える、費用を無駄にしない出願戦略

出願前の調査(クリアランスサーチ)の重要性

出願の前に、同一又は類似の商標がすでに登録されていないかを調べる「クリアランスサーチ」等、調査を行うことで、拒絶のリスクを大幅に減らすことができます。これは弁理士に依頼することで、より正確かつ効率的に行うことが可能です。

途中での戦略的撤退と費用対効果の判断

審査段階で問題が発覚した場合、早期に取り下げることで無駄な対応コストを減らす判断も重要です。出願料が返ってくるわけではありませんが、拒絶理由通知への対応等のコストの発生を防ぐことができます。弁理士と相談しながら、出願の進退を見極めることがポイントとなります。

まとめと結論

商標出願料は、基本的に「返ってこない費用」であることを理解しておく必要があります。拒絶査定、取下げ、放棄のいずれも返金の対象とはならないため、出願時点でのリスク管理が非常に重要です。事前調査と弁理士のサポートによって、費用を無駄にしない出願を目指しましょう。

商標出願を成功させるために弁理士に相談すべき理由

商標出願は「単なる申請」ではなく、専門的な知識と戦略が必要な手続きです。弁理士に依頼することで、成功確率を高め、無駄な費用や手間を省くことができます。はじめての出願や過去に失敗経験がある方は、ぜひ一度ご相談ください。