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商標登録手続中に発生する「過払い」の意外な落とし穴
商標登録の際には、登録料を特許庁に納付する必要があります。
しかし、手続に不慣れな方や、複数区分での出願をされた方の中には、登録料を「払い過ぎてしまう」ケースが少なくありません。
このような過払いが起きた場合、返金してもらえるのか?その手続はどうするのか?
今回は商標専門弁理士の視点から、登録料の過払いと返還手続について解説します。
商標登録料の仕組みと支払い方法
登録料の金額と納付タイミング
商標登録料は、商標の設定登録の際に発生し、原則として「登録査定の後、30日以内」に納付する必要があります。登録料は「10年分一括納付」または「5年ずつの分割納付」が選べます。
※参考記事
登録区分数と支払い金額の関係
登録料は1区分ごとに計算されるため、複数の区分を出願していた場合、誤って余分な区分分を納付してしまうことがあります。
また、出願中に一部区分を削除したことを忘れて、不要な分まで支払ってしまうケースもあります。
登録料を払い過ぎた場合に起こる問題とは?
返金されないケースと注意点
商標登録料の過払い分は、原則として「返還請求手続」をとれば返金されます。
ただし、「納付済金額」「適正納付金額」「返還請求金額」を明確にしない場合や、手続の不備があると返還されないケースもありますので注意が必要です。
誤納となる原因(区分の誤解、分割と一括納付の誤解など)
よくある誤納の原因には、以下のようなものがあります:
- 一部の区分を削除したことを失念し、削除前の全区分分を納付した
- 分割納付するつもりが、一括納付してしまった
- 登録料と別の費用(例えば更新登録申請費用)を混同して納付してしまった
- 法改正前の金額で納付してしまった
商標登録料の返還請求の流れ
特許庁への返還請求手続の概要
過払いが発覚した場合、速やかに特許庁に「既納登録料返還請求書」を提出します。返還は銀行振込で行われるため、正確な口座情報の記載も必要です。
返還請求手続の期限
「登録料の納付日から1年以内」と決まっています。期限を過ぎると、返還請求することができませんので、早めに手続を行なってください。
返還請求書の提出と必要書類
返還請求には以下の書類が必要です:
- 既納登録料返還請求書(特許庁様式)
- 登録番号や納付日などの情報
- 返金を受ける口座情報
- 「納付済金額」「適正納付金額」「返還請求金額」
- 返還原因(「過誤納」と記載します)
特許庁での審査を経て、返金が承認されれば約3~4ヶ月で口座に振り込まれます。
商標専門弁理士が教える、過払いを防ぐポイント
事前確認で避けられるミスとは
登録料を納付する前に「登録査定内容」「区分数」「分割か一括か」などを必ず確認しましょう。出願内容と登録内容にズレがある場合、特に注意が必要です。
弁理士を活用した納付サポートのメリット
商標専門弁理士に依頼すれば、納付金額の正確な計算や、誤納の防止、必要に応じた返還請求書の作成・提出まで対応してもらえます。特に複雑な出願をされている方にとっては、大きな安心材料となるでしょう。
まとめと結論
商標登録料の過払いは意外と起こりやすいミスですが、正しく手続すれば返還される可能性があります。ただし、1年の期限が定められているので、誤納に気づいたら早めの対応が重要です。金額は小さくても、積み重ねれば大きな損失になります。ミスを防ぐためにも、弁理士のサポートを活用するのがおすすめです。
商標登録手続は専門弁理士に相談するのがおすすめな理由
商標登録は「出願」だけでなく「納付」や「管理」も重要です。弁理士に依頼することで、こうした事務的なミスを防ぎ、安心して商標権を取得・維持することができます。手続に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。