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動きにも商標がある?知られざるブランド保護の手段
「商標」と聞いて、静止したロゴやマークを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実は、時間の経過によって変化する「動き」自体も、商標として登録できる制度があります。
それが「動き商標」です。
この記事では、動き商標の概要、登録要件、具体例、出願時の注意点まで、商標専門弁理士がわかりやすく解説します。
動き商標とは?
動き商標とは、図形や文字などが時間の経過に伴って変化する様子を商標として保護するものです。
商標法第2条第1項柱書の「その他政令で定めるもの」に基づき、商標法施行規則第4条によりその態様が明示されており、
2015年から出願が可能となりました。
登録の要件と特徴
✅ 自他商品・役務識別力(識別性)があること
商標は、「自分と他人の商品やサービスを識別するための標識(自他商品・役務識別標識)」です。
動き商標においても、「この動きを見ればあのブランド」と認識される必要があります。
✅ 動きの構成と内容が明確であること
出願には、次のような資料が必要です:
- 動き商標であることを明記
- 動きを1コマずつ表した図や写真(複数の静止画像で動きを表現)
- 動きの説明(時間軸に沿った変化の内容を文章で説明)
これらにより、「どのように動くか」「何が変化するか」が明確に説明されていなければ、審査に通りません。
登録されている動き商標の例
※動き商標の登録例(画像はJ-PlatPatの登録情報から引用して作成)
- ロゴが回転・出現等する動き
- CMアニメーション
- アプリ起動時に現れるアニメーション
こうした「動き」自体がブランドの一部として記憶され、識別性がある場合に、登録が認められます。
出願時の注意点
✅ 単なるアニメーションでは登録されない
- 単にヨガ等のポーズを表したものや、商品の機能による動きを表したもの、識別力のない文字が動くだけのものなど、「自他商品・役務の識別標識」と認識されるだけの識別力がなければ登録は困難です。
- 識別力がない場合は、商標としての使用実績により識別力を獲得した事実を証明することが重要
✅ 書類の完成度が成否を分ける
- 動きの内容を正確に伝える図や写真の構成・説明書の文章表現は非常に重要
- 専門家のサポートを受けることで、審査官への伝達精度が高まり、登録可能性も高くなります
弁理士に相談するメリット
- 登録可能性があるか、他の商標との抵触や識別力の有無を事前に精査できる
- 図・写真や説明書類の作成、区分の選定、商標的使用の助言など、出願全体をトータルでサポート
まとめ|「動き」もブランド資産として守れる時代に
- 動き商標は、静止画だけでは表現できない新たなブランド価値を守る制度です
- 特に動画広告やアプリ、デジタルサイネージなどの視覚的ブランディングとの相性が抜群
- 「これって商標登録できるの?」と思ったら、ぜひ商標専門弁理士にご相談ください。